2 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:23:54.40 ID:t6CtMMqZ0


       第六話「忍びよる影」


4 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:24:59.04 ID:t6CtMMqZ0

 慣れない私服に着替えたドクオは、
 朝から鏡とにらめっこしていた。

('A`)「よし」

 鏡を見て髪型をセットし、髪を少し触り、また鏡を見る。
 その繰り返しの果て、ようやく満足の髪型が決まったドクオは
 少し早めにマンションを後にした。

 外は雲一つない快晴で、絶好のデート日和といえた。
 ヒートとの待ち合わせ場所はいつものコーヒーショップになった。


5 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:27:04.72 ID:t6CtMMqZ0

 ドクオは10分ほど早く着いたのだが、そこにはすでにヒートの姿があった。

ノハ*゚⊿゚)「おはよ」
 
 うすいピンクのワンピースに身を包んだ彼女は、
 特徴的な赤い瞳と、セミロングの髪型がとても似合っていて
 ドクオは一瞬、天使を見ているような錯覚を覚えた。

(;'A`)「おう、おはよう」
 
ノハ*゚⊿゚)「じゃあ行こうか」

(;'A`)「ちょw腕を組むな」
 
ノパ⊿゚)「ん?私と腕組むのは嫌なのか?」

(;'A`)「……いや、いやってわけじゃ」
 
ノハ*^ー^)「じゃあいいじゃん」

(;'A`)「……」

(*'A`)「……まあいいか」
 
 ドクオたちは電車でスイーツ前駅に移動し、スイーツランドについた。

7 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:28:52.84 ID:t6CtMMqZ0

ノハ*^ー^)「何乗る?」

('A`)「……う~ん、ヒートは乗りたいのあるか?」

ノハ*^ー^)「う~ん、全部かな~」

(;'A`)「……あー、じゃあ人気でそうなのをはじめに乗るか」

 二人はメロンコースターに乗ることを決めて、
 まだ人のまばらな列に加わった。

ノハ*゚⊿゚)「……私男の人と二人で遊ぶの初めてなんだよね」

(;'A`)「え?」

ノハ;゚⊿゚)「いや、そこで驚くのか!」

(;'A`)「いや、ヒートはかわいいからデートに誘われまくってるかなって」

ノハ ⊿ )「かわいくなんてないよ」

ノハ ⊿ )「それに"私"を見てくれる人なんていなかったし……」

(;'A`)「……」


8 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:30:19.77 ID:t6CtMMqZ0

ノハ*^ー^)「だから誘ってくれた時、すごいうれしかった。」

(*'A`)「……俺もOKしてくれた時うれしかった」

ノハ*゚⊿゚)「なんか恥ずいなwww」
 
(*'A`)「ですよねーwww」

ノハ*゚⊿゚)「ド、ド、ド、ド、ド」

(;'A`)ooO(……JOJOか?)

ノハ*゚⊿゚)「ド、ドクオはデートはよくするのか?」

(;'A`)「いや、全く……これが人生初めてだ」

ノハ*゚⊿゚)「……じゃあ童貞か」

('A`)「ウツダシノウ」


9 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:31:08.65 ID:t6CtMMqZ0

ノハ*゚⊿゚)「別に気にしなくていいよー、やりまくってるほうが嫌だし……」

(*'A`)「ん?ってか思ったんだけど、まさかヒートって処j(ry ボグフっ」

ノハ#゚⊿゚)「……」

(#);'A`)「正直すまんかった」

ノハ*゚⊿゚)「おっ、順番来たぞ……」 

係りの人「スイーツランド一番の暴れ者、メロンコースターへようこそ」

係りの人「シートベルトなし、宙づりありで、最高速度120kgで爆走する
     恐怖のジェットコースターに君は耐えきれるか?」

係りの人「レディー、ファイッ!」
 
 加速したジェットコースターは、20メートルくらいの上り坂を一気に駆け上がり
 そのまま一回転してドクオ達を弄んだ。

ノハ*゚⊿゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 

(*゚A゚)「あばばばばばばばばばばばばば」
 
 2分間に渡る恐怖体験で、ドクオの意識は闇に落ちそうになった。

係りの人「はーい、終了です。足元にご注意してお降りください。」


10 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:32:18.29 ID:t6CtMMqZ0

ノハ*゚⊿゚)「あー、おもしろかったねー」

(*゚A゚)「あばばばばばばばばばばばばば」
 
ノハ;゚⊿゚)「ドックん大丈夫?」

(*゚A゚)「だいだいだいじょうぶぶぶぶぶぶ」
 
ノハ;゚⊿゚)「だめだこりゃ」 

ξ゚⊿゚)ξ「あら?ドクオ?」

ノパ⊿゚)「あ……」

( ^ω^)「久しぶりだお」

ノパ⊿゚)「すみません、休憩できるとこ連れて行くんで」

('A`)「あ、ヒート、もう大丈夫だ」
 
ノハ;゚⊿゚)「え?」

('A`)「そういや言ってなかったな。もう解決したんだ」
 

11 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:33:36.70 ID:t6CtMMqZ0
 
ξ゚⊿゚)ξ「ヒートさんだっけ?」

ξ^ー^)ξ「ツンです。よろしくね」

ノハ;゚⊿゚)「はあ、よろしく」

( ^ω^)「おっお、ブーンだお」

ξ^ー^)ξ「この後4人で行動しない」

('A`)「そうだな、二人にヒートのこと知ってもらいたいし……」
 
('A`)「ヒート、いいか?」
 
ノハ;゚⊿゚)「ドクオがそうしたいならいいけど……」
 
13 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:34:46.20 ID:t6CtMMqZ0
 
 それから4人はしばらく雑談をして過ごした。
 バーボンハウスでのこと、会社のこと、大学時代のこと
 気づくともうすっかり遅くなっていた。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあブーンそろそろ帰るわよ?」

( ^ω^)「お?もう帰るのかお?」

ξ#゚⊿゚)ξ「……空気嫁」

(;'A`)「いや、空気て」
 
 ブーンはツンに引きずられて退散し、再び二人っきりになった。

ノハ*゚⊿゚)「いい人たちだな……」

('A`)「ああ、自慢の親友だよ」
  

14 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:35:53.28 ID:t6CtMMqZ0
 
ノハ*゚⊿゚)「この後何乗る?」

(*'A`)「ヒーt(ry グベラッ」

(#)'A`)「正直すまんかった」

('A`)「シンデルラ城行かないか?」

ノハ*゚⊿゚)「おう」

係りの人「スイーツランド唯一のお化け屋敷、シンデルラ城にようこそ」

(;'A`)ooO(え?やばい、お化け屋敷かよ)

ノハ;゚⊿゚)ooO(お化け屋敷だったのおおおおお)

係りの人「二名様ですか?クェックェックェ……」

(;'A`)ooO(やばい、暗い)

ノハ;゚⊿゚)ooO(怖い怖い怖い怖い)
 

15 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:36:26.18 ID:t6CtMMqZ0
 
お化け約「キャッホー」

ノハ;゚⊿゚)「ぎゃああああああああああああああああ」

(゚A゚)

ノハ;゚⊿゚)「ドクオ?生きてるか?」

お化け約「ぎゃああああああああああああああああ」

ノハ;゚⊿゚)「うわああああああああああああああああ」

(゚A゚)

ノハ;゚⊿゚)「ちょっ、ドクオ!抱きつくな」

(゚A゚)

お化け役ooO(うぜえwwwww)

ノハ;゚⊿゚)「ああ、怖かった」

(゚A゚)
 

16 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:37:01.44 ID:t6CtMMqZ0
 
ノハ*゚⊿゚)「もう出たぞ、そろそろ離してくれ」

(゚A゚)

ノハ;゚⊿゚)「ドクオさ~ん?」

ノハ;゚⊿゚)「だめだこりゃ」

ノハ*゚⊿゚)「まあ、少しくらいいいか」

ノハ*^⊿^)ooO(かわいいなぁ)

 イスにもたれかかり、抱き合う二人を見て、
 憎悪の念を燃やす男がいる。

(# ´ー`)「絶対許さネーヨ」

(# ´ー`)「ヒートもヒートダーヨ、あんな男にたぶらかされやがって……」

 5分くらいしたころだろうか
 突如ドクオは、目を覚ました
 

17 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:38:32.17 ID:t6CtMMqZ0
 
(゚A゚)「はっ」

(;'A`)「え?ちょ、どんな状況?」

ノハ*゚⊿゚)「あ、起きた?」

(;'A`)「え?いや、ん?ちょ、」

 あわてて起き上がろうとしたドクオは
 体制を崩し、ヒートの体に多いかぶさってしまう

(;'A`)「ごめん」

 そう言って、状ドクオは態を起こし、
 なんとか立ち上がった。

ノハ*゚⊿゚)「…」

 立ち上がったヒートと視線が合う
 ドクオの心臓は爆音を奏でていた。

 ――ああ、俺はヒートが好きなんだな

 そう思ったドクオは、想いを言葉にしていた。
 
19 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:39:37.14 ID:t6CtMMqZ0
 
 それは、最も単純なセリフ

 誰でも簡単に考えつく、しかしなかなか言うことのできない言葉

('A`)「好きだ…付き合ってくれないか?」

ノハ*゚⊿゚)「……ドクオ」

ノハ*゚⊿゚)「……あ、答えを出す前に、今日私の部屋に来てくれないか?」

('A`)「へ?」

ノパ⊿゚)「……付き合う前に私の過去を知って欲しい」

ノパ⊿゚)「その上でドクオが付き合いたいと思ってくれるなら、私はドクオと付き合う」

('A`)「過去って?」

ノパ⊿゚)「……部屋で話す」

 その後、閉園まで遊んだ二人は、
 二人並んで帰路についた。
 
21 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:40:59.65 ID:t6CtMMqZ0
 
 両者、目的は同じ、ヒートの家である。

 ドクオの家から少し離れたとおりにそれはあった。

ノパ⊿゚)「入ってくれ」

('A`)「ああ」

 部屋に入るドクオとヒートを見て、焦る男がいた。

(; ´ー`)「冗談じゃネーヨ」

 シラネーヨである。
 
 バーボンハウスの花であるヒートとしぃ
 彼は二人に惹かれていた。

 だが、しぃにはギコという夫がいた。
 人妻属性がなかった彼は、必然的にヒートを狙うことになった。

 しかし、社交的な性格でなかった彼は
 バーボンハウスの空気にもあまり馴染んでなかった。
 

22 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:42:20.04 ID:t6CtMMqZ0
 
 当然、ヒートからも好意をもたれるはずもなく
 しつこくヒートに付きまとった結果
 店長からシフトを離される結果になった。

 それでも、シラネーヨは、
 休日はヒートのことをつけ回す生活を続けた。

 そのような生活を繰り返す結果、
 彼はヒートに対し束縛欲を覚えていた。

 そんな精神状態の彼にとって
 ドクオとのデートなど到底許せるものではないし、
 まして抱き合うなんて問題外の話だった。

 その時点で、彼の我慢はすでに限界を迎えていた。

 さらに、ドクオがヒートの部屋に入ったことで、彼はパニックに陥っていた。
 自分だけが、バーボンハウスで自分だけが知っていた彼女のマンション

 苦労して探した彼女の部屋

 それらは全て、彼女自らドクオに教えてしまった。
 

23 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:43:38.29 ID:t6CtMMqZ0
 
(;#´ー`)「糞っ!」

 ヒ-トの部屋に急ぐ、部屋の前まで来て、シラネーヨは聞き耳をたてた。

 音は聞こえない

 それがシラネーヨを焦らせた。

 思考停止したシラネーヨに突撃以外の選択肢はなかった。

(# ´ー`)「やめろおおおおおおおお!」

 シラネーヨはヒートの部屋に突入した。

ノハ;゚⊿゚)「え?」

 シラネーヨが目にしたのは、唖然とした顔をするヒートと、呆然とこっちを見ているドクオの顔だった。
 

24 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:44:27.40 ID:t6CtMMqZ0
 
ノハ;゚⊿゚)「なんでシラネーヨが……」

(# ´ー`)「うおおおおおおおおおおおおお!」

 無我夢中のシラネーヨはドクオを押し倒す。

(;'A`)「ちょっ」

 突然突き倒されたドクオは自分が狙われてると思い、とっさに尻を隠す
 次にドクオを襲ったのは予想外の衝撃。

 シラネーヨの懇親の一撃はドクオの頬を的確に打ち抜いた。

(#);'A`)「うおっ」

ノハ;゚⊿゚)「ドクオオオオオオ」

 ドクオを殴り倒したシラネーヨはヒートのもとに向かっていく

(# ´ー`)「…お前は俺の物だ」

ノハ;゚⊿゚)「へ?」

(# ´ー`)「お前は俺の物、お前は俺の物、お前は俺の物」

ノハ;゚⊿゚)「シラネーヨ…さん」

 その言葉がシラネーヨの神経をさらに逆撫でした。
 

25 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:45:25.00 ID:t6CtMMqZ0
 
 なぜ、年上のドクオが"ドクオ"で
 同い年の俺が"シラネーヨさん"なんだ……

(# ´ー`)「ビッチにはお仕置きが必要だね」

ノハ;゚⊿゚))「…いや、来ないで」

 シラネーヨはだんだんと、しかし確実に
 ヒートに近づいていく

 後ろを壁にしたヒートに、逃げ道はない

ノハ ;⊿;))「…お願い、来ないで」

 「うおおおおおおおおおおおおおお」
 叫び声が聞こえると、シラネーヨの体が真横に吹っ飛んだ。

(#'A`)「ヒートに何してんだよ!」

ノハ ;⊿;))「ドクオ」

(;'A`)「ごめん、大丈夫か?」

 そこで、二人の視線が交差した。
 

26 : ◆Zt9X/.DVfQ :2008/03/27(木) 15:45:57.02 ID:t6CtMMqZ0
 
('A`)「ヒート」

ノハ ;⊿;)「……ドクオ」

 近距離で二人の視線が交差し、
 視線はお互いの意思を、無音の言葉となり互いに伝えていく

 二人の輪郭が徐々に近づき、やがてその距離は0になった。

 唇と唇が触れ、心と心がつながっていく

 ドクオはヒートの震える体をぎゅっと抱きしめた。
 
 
 
       第六話「忍びよる影」
 

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