1 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:24:51.21 ID:3eUR0VLy0

例えば、何故自分に“耳”がついているか、考えた事はあるだろうか。
考えた事がある、人はいるかもしれない。

しかし、それを毎日疑問に思い、考える事をするだろうか。
通常、人間はそのような事を行わない。
“耳”はあって当然のものだからだ。


だからこそ、ソレは盲点だった。


第七話「くびとり がっせん」


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:26:26.45 ID:XZR/ETLZ0
支援('∀`)

3 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:27:19.68 ID:3eUR0VLy0

――17時07分 バインウッド・マーケット――


気がつけば、空は赤く染まり始めていた。
ショボンは一度全員を見渡してから、再び赤のハコと向かい合った。

開封条件である、五人の指紋認証が済むと、パネルに『ハコの開封状況を見ますか?』と表示された。
最初に説明があった通り、赤のハコでは常に開封状況が確認できるようだ。


(´・ω・`)「……」


ショボンは無言でYESをタッチする。
すると次の文が表示された。


[17時08分]
【黒:41 赤:0 銀:1】



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:28:16.32 ID:XZR/ETLZ0
支援

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:28:45.88 ID:Yq8t/HzzO
きたああああああああああ

まとめどご?

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:29:37.68 ID:jcJn6JRV0
ちょwwwすげえ久し振りwwwww

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:30:11.62 ID:fERYi2VWO
久し振りにキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!

8 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:30:19.06 ID:3eUR0VLy0

大体の予想通りの数字だとわかると、ショボンは興味を無くしたかのように目を背けた。
顔は前を向いている。赤みを増した陽光が彼の顔を妖しく照らす。


(´・ω・`)「武器と情報、どちらから見ますか?」


背中越しに四人に語りかけた。
一瞬だけ、空気の流れが止まったように感じた。

「どうします?」デミタスの声がする。
「うーん」ハインが唸る。


(´・ω・`)「武器から見ますよ」


四人を振り返り、答えを待つことなくショボンは言った。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:30:52.78 ID:ThX6SsRwO
え………支援

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:32:30.56 ID:3eUR0VLy0

(´・ω・`)「今真に必要としているのは情報でしょう。
     武器があれば心強いですが、実験をクリアする為に絶対必要になるものとはあまり思えない。
     先に武器を確認してから、情報のアイテムを確認します。良いですね?」

(´・_ゝ・`)「はい。そうしましょう」


デミタスの返事を聞いてから、ショボンはパネルに手を伸ばした。
青白い液晶の表示が、武器の一覧に変わる。ショボンの表情が微かに強ばった。

他の四人がショボンを中心にして、箱の前に歩み出る。


从;゚∀从「……」

ミセ;゚ー゚)リ「……」


顔色が変わったのは、ショボンだけでは無かった。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:33:26.25 ID:fERYi2VWO
支援

12 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:34:19.73 ID:3eUR0VLy0


【ノコギリ】 1/14
【M1906】 0/3
【FN P90】 0/1


(;´・_ゝ・)(やはり来るか……)

(=゚ω゚)ノ「……」


――銃。
アルファベットと数字の羅列という特徴的な名称から、すぐに理解出来た。

保持数の少なさからも、それがどれだけ強力な武器かわかる。
ただでさえ数の少ない赤のハコで、この保持数の少なさは尋常じゃない。
最初に取った者勝ちである。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:34:28.17 ID:XZR/ETLZ0
支援

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:36:15.76 ID:XZR/ETLZ0
ノコギリw

15 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:37:02.62 ID:3eUR0VLy0

(´・ω・`)「M1906は、確か拳銃ですよね。P90って何でしょう……」

从;゚∀从「PDWの一種で、コンパクトな機関銃です」

(´・ω・`)「なるほど。説明を見てみます」


パネル操作により、画面が切り替わる。
説明は極限まで簡略化されており、どちらの銃も装弾数くらいしかわからなかった。
M1906が装弾数7発、P90が30発である。


从;゚∀从「P90は、たしか最大装弾数がもっと多かったはずですけど……」

(´・ω・`)「よくわからないですけど、ヴァージョンが違うのかもしれませんよ。
     もしくは強力過ぎるから、ある程度制限しているのかもしれません。
     それにしても詳しいですね」

从 ゚∀从「銃が好きだから警官になったんです」

(´・ω・`)「そうですか」


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:37:32.85 ID:D7tu2rS5O
待ってて良かった

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:37:44.86 ID:rWktfXXP0
うおおおひさしぶり!待ってたぜ支援

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:38:42.75 ID:k7QIsmmv0
支援

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:38:54.53 ID:XZR/ETLZ0
支援

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:38:59.93 ID:ICrgaXqX0
まとめないの?

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:39:00.10 ID:sxhm4ArtO
支援せざるを得ない

22 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:39:35.29 ID:3eUR0VLy0

説明を見終わると、ショボンはすぐにパネルをinformationに切り替えた。
彼が本当に見たかったのはこちらであった。


(´・ω・`)「……?」


アイテム欄を見て、最初に感じた事は、“疑問”。
最初に目に飛び込んできたその不可解なアイテムが、ショボンの思考にわだかまりを残した。

informationアイテムの一覧はこれだ。

【地図Lv2】 0/6
【探知機】 0/6
【首輪探知機】 0/6


(´・ω・`)(何だこのアイテムは……?)


説明を見てみたい衝動を抑えて、ひとまずは地図Lv2を見る。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:40:06.52 ID:XZR/ETLZ0
>>5
>>20
つttp://boonden.web.fc2.com/dokuzin.htm

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:40:40.04 ID:zQlWh/nNO
久々だな
何ヶ月ぶりかな

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:41:00.16 ID:ICrgaXqX0
>>23
サンクス

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:41:55.25 ID:ApZ7rTR90
ヴァニラでまとめるんじゃね?

27 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:42:12.07 ID:3eUR0VLy0

(´・_ゝ・`)「おお!」


それは、赤のハコの場所が印された地図であった。
Lv1が黒のハコだったので、これは予想出来る範囲である。

次にショボンは探知機の説明を見る。
被験者の位置がわかるアイテムだと知った時、その場にいた者たちから感嘆の息が漏れた。
ここまでは、ショボンの予想の範囲だ。


(´・ω・`)「最後はこれですね」


首輪探知機。
説明には、首輪の位置が分かるアイテムと記されてあった。

やはり、おかしい。
ショボンは思考を乱す違和感の正体を考え始めた。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:44:12.40 ID:XZR/ETLZ0
支援

29 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:44:15.71 ID:3eUR0VLy0

(´・ω・`)(何故首輪探知機なんてアイテムがあるんだ。
      首輪は被験者一人一人についている。それらを探すアイテムがこれだ。
      しかしそれだと性能が探知機と丸被りしてしまう……)


自身にも付けられている首輪に、そっと手を伸ばす。
飛行機内で目を覚ました時から、首輪には触れていなかった。


(´・ω・`)「!」


だから気がついていなかった。
首輪に起こっていた二つの変化に。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:45:17.95 ID:8z9AwWUEO
うぉぉぉぉぉ!!!!!!来たあぁぁぁあぁぁ!!!!!!!ケツ出せ!!!!!

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:45:59.07 ID:XZR/ETLZ0
なんだなんだ?

32 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:46:21.94 ID:3eUR0VLy0

(´・_ゝ・`)「何を選びましょうか?」

从;゚∀从「ここは武器を選んでも良いと思うんですけど、どうでしょうか」

ミセ*゚ー゚)リ「探知機って結構いりそうじゃない?」

(´・ω・`)「……じっくり選びましょう」

(;´・ω・)(まさか……いや……こんな事って……)


首輪に伸ばした手を引っ込め、他の四人の首輪にそっと目を走らせる。
二つの変化の内、一つの変化がそれぞれ四人の首輪にも確認出来た。

首輪のつなぎ目、ポートのある部分の下に、5ミリ程度の数本の突起物が現れているのだ。
もしも一人で行動していれば、触って確認しない限り気がつかないだろう。

視認するのは不可能なのだから。
鏡で自分の首輪を見でもしない限り。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:47:58.85 ID:XZR/ETLZ0
支援

34 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:48:25.28 ID:3eUR0VLy0

いや、例え鏡があったとしても、意識して首輪を見ようとしなければ気がつかないレベルだ。
顔の下にある為、太陽が真上にある内は影によって見えにくい。

そもそも、首輪は実験を円滑に進める為のただの飾りであるという意識がある。
それ故に被験者たちは、実験開始時以降、首輪に注意を払う事をしなかった。


(=゚ω゚)ノ「地図も良いんじゃないかぁ?」

(´・_ゝ・`)「そうですね。これさえあれば他の赤のハコも探せる」


しかしショボンは気がついた。
首輪探知機という不可解なアイテムの存在によって、首輪に注目したからだ。

そしてもう一つ、確信こそは持てなかったが――いや、ショボンが信じたくなかったというのが妥当だろう。
出現していた突起物以外に、首輪にはある変化が起こっていた。


(;´・ω・)(これは……まずいぞ)


首輪が、縮んでいたのだ。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:49:25.03 ID:XZR/ETLZ0
支援

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:49:50.79 ID:PaJXkMIX0
支援するしか

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:50:07.65 ID:jcJn6JRV0
ひええ

38 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:50:37.77 ID:3eUR0VLy0

他の四人に怪しまれぬよう、今一度首を掻くふりをして首輪に触れる。
指を引っかけ、輪の大きさを確認し、手を離す。


(;´・ω・)「……」


やはり、縮んでいるとしか思えなかった。


(;´・ω・)(……首輪探知機と、探知機が並んでいるという矛盾。
      これはともすれば、僕たち被験者に当てたメッセージかもしれない。
      首輪を意識しろという、政府からの指示……そう考えるとある程度納得がいく。

(;´・ω・)(指示では無いにしろ、赤のハコのアイテムだ。何かしらの意味が必ずある。
      首輪に関連しているアイテムである以上、これからの行動に首輪が関わってくるのは必須……)


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:51:58.86 ID:XZR/ETLZ0
支援

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:52:56.41 ID:8z9AwWUEO
支援

41 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:53:11.88 ID:3eUR0VLy0

(´・_ゝ・`)「ショボンさん」

(´・ω・`)「はい」

(´・_ゝ・`)「どのアイテムが良いと思いますか?」

(´・ω・`)「……ううん、悩みますね」

(;´・ω・)(まだ誰も気がついていない。首輪が縮んでいるという危機に。
      危機……そうか。この首輪が、終了条件で言及していた排除すべき危機という事か。
      ひょっとしたら縮んでいるのは僕の首輪だけかもしれないが……。
      いや、どちらにしろ首輪の突起には気がついていないだろう。
      少なくともこの中で、首輪に変化が起こっている事に気がついているのは僕だけだ。
      言うべきか? 首輪の変化の事を……)

ミセ*゚ー゚)リ「武器にする? それとも情報?」

(;´・ω・)(いや……駄目だ駄目だ。
      僕は間違った行動も、特殊な行動もしていない。他の被験者と何ら変わらない立場なんだ。
      僕の首輪が縮んでいれば、他の被験者の首輪も一様に縮んでいて当然。
      そう考えると、僕だけがこの異常に気がつけた事は大きなアドバンテージだ。
      むざむざと他人に塩を送る必要は無いし、教えたところでこいつらが役に立つとは思えない。
      僕だけで考えるんだ)


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:54:43.02 ID:XZR/ETLZ0
むむむ

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:55:49.96 ID:8z9AwWUEO
支援

44 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:55:55.11 ID:3eUR0VLy0

――でも安心して下さい。これは皆さんの身体状態、および現在位置を知る時に使うんです
――六年前の実験から、被験者の人は全員首輪をつけているんですよ


(;´・ω・)(そういえば首輪をつける前、ロマネスクは確かにそう言っていた。
      あれは、あの時点で付けていた首輪の事なんじゃないか?
      僕たちが眠った後、首輪を外し、すり替えた。だったら嘘はついていない)


――これ以上質問には答えませんので、ご了承下さい


(;´・ω・)(追究されすり替えのトリックがばれるのを恐れ、一言付け足したと考える事も出来るな。
      六年前の実験から首輪をつけていたのだとすると、初参加者はおろか、経験者さえも……)


気がつかないのだ。
モララーやブーン、実験の観察側であったセブンは、首輪を付ける事を知っていた。

あくまで、首輪と実験の内容は関係無い。
そういう意識を植え付けられていた。

初参加者のショボンだからこそ、首輪に対し疑問を抱き、思考する事が出来たのかもしれない。


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:57:08.38 ID:ogceR5yfO
おお支援
今はまとめ無いの?

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:57:18.03 ID:XZR/ETLZ0
支援

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:58:17.07 ID:7u02k2Pi0
しえん

>>45
みたいだな

48 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 22:58:55.75 ID:3eUR0VLy0

(;´・ω・)(落ち着け……考えを整理しろ……。
      危機的状況ではあるが、見方を変えれば全被験者を出し抜けるチャンスだ。
      逃す手は無い!)

(´・_ゝ・`)「……」

从 ゚∀从「うーん……」

(;´・ω・)(これから僕たちがやらされるのは、首輪を解除する方法を模索し、実行する事。
      何か鍵のようなアイテムがあるはずだ。でも黒のハコには入っていないだろうな。
      黒のハコは地図さえ手に入れていれば簡単に探し出し、開封する事が出来る。
      ハコに入っているとすれば、開封条件のついた、赤か銀のハコに入っているはずだ)

(;´・ω・)(対人間用のweaponアイテムがある以上、これからの実験の過程で必ず戦いが起こるはずだ。
      だとすると開封条件に戦い――殺し合い、か。それを示唆するようなものがあるというのか?)

ミセ*゚ー゚)リ「やばい。そろそろ暗くなるよ」

(=゚ω゚)ノ「晴れてるから、真っ暗にはならないよ。星の明かりがある」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、そうねー」


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:59:15.48 ID:8z9AwWUEO
支援

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 22:59:57.54 ID:XZR/ETLZ0
支援

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:00:19.47 ID:k7QIsmmv0
ttp://maruboon.web.fc2.com/015/0.html
まとめ一応ここにあるよ支援

52 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:01:45.20 ID:3eUR0VLy0

(;´・ω・)(赤のハコの開封条件を見る限りでは、殺し合いなんてわからない。
      いや、むしろ助け合いを助長しているようにさえ思える。
      首輪を解除する鍵はハコのアイテムでは無い?)

(;´・ω・)(待てよ……銀のハコに入っているのなら納得できる。
      元々ハコの数さえ少ないんだ。鍵の取り合いは、そのまま殺し合いに繋がる。
      しかし、首輪探知機というアイテムがまだ引っかかる。突起の意味も不明だ……)


思考が渦を巻き、迷宮を作る。
堂々巡りになり始めた時、一筋の光明が指した。


(´・ω・`)(待てよ、首輪をつけた時……)


実験開始前、飛行機内で首輪をつけた時の事だ。
小型の電子錠が、ポートに差し込まれ、首輪は閉じられた。
あの電子錠の形状を、記憶の底からすくい取る。


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:02:59.35 ID:8z9AwWUEO
支援

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:03:15.04 ID:+MU52uK60
まってたよ支援

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:04:02.81 ID:XZR/ETLZ0
支援

56 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:04:29.09 ID:3eUR0VLy0

記憶では、数個のピンがポートと同じ数だけ伸びていた。
それらを接続する事により、首輪は閉じられた。


(;´・ω・)(……)


もう一度、他の四人の首輪に目をやる。
突起物が、ピンに見えた。


(;´・ω・)(まさか……まさか……まさか……!!)

ミセ*゚ー゚)リ「ていうか、何でノコギリ入ってたんだろうね」

(´・_ゝ・`)「さあ。もしかしたら黒のハコとは別のものなんでしょうか」

从 ゚∀从「電動ノコギリとか?」


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:05:08.82 ID:ogceR5yfO
>>51
生きてるまとめサイトだよ支援

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:05:42.82 ID:8z9AwWUEO
支援

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:05:55.25 ID:XZR/ETLZ0
支援

60 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:06:48.28 ID:3eUR0VLy0

(;´・ω・)「……ノコギリって、黒のハコにもありました?」

(´・_ゝ・`)「ありましたよ」

ミセ*゚ー゚)リ「私も見た」

从 ゚∀从「あ、自分もです」

(=゚ω゚)ノ「俺も」

(;´・ω・)「そうですか……」


謎の突起物。縮み始めた首輪。終了条件に記された危機。
いずれ始まる戦い。首輪探知機。何故か赤のハコにも入っていたノコギリ。

それらが、一つの答えに収束する。


(;´・ω・)(わかったぞ……首輪の……鍵は……!!)



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:08:17.80 ID:XZR/ETLZ0
支援

62 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:08:23.68 ID:3eUR0VLy0



(;´・ω・)(この首輪そのものなんだ……!!!)



パズルがかち合い、答えが導き出された。
認めたくなかった。このあまりにも残酷なルールに。

しかし全ての要素が、首輪自身が鍵だという事を示していた。


(;´・ω・)(首輪探知機とは、被験者ではなく首輪そのものを探し出す必要性から生まれたアイテムなんだ。
      そしてノコギリ。保持数は14個で、大したアイテムでは無いと思っていた。
      しかしこれも具体的な意味が提示されたアイテムだったんだ。そもそもノコギリは武器じゃない。
      weaponアイテムとしては異質。しかし赤のハコにも入っている事から、重要なアイテムだとわかる)

(;´・ω・)(ノコギリとは何らかの物体を『切断』するアイテム。
      隠されたメッセージは『首を切り落とせ』だ!)


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:08:42.94 ID:ogceR5yfO
んーなるほど。しかし主人公空気だな

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:09:34.13 ID:GPUYbPwAO
うわぁぁああぁぁあ
支援

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:09:57.19 ID:jcJn6JRV0
首チョンパっすかwwwwwww

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:10:02.17 ID:XZR/ETLZ0
支援

67 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:10:09.05 ID:3eUR0VLy0

――人間は思いこむ動物。
――どうしても狭い視野でアイテムを選びがち!

――アイテムの中には、保持数が多くても重要なものがあるんだ。


(;´・ω・)(保持数が14個だったのも、使えないアイテムだったからじゃない。
      被験者の数だけ用意されていたのは、必須アイテムだったからだ。
      つまりそれは、首を切る事が必要になるという暗示!)

从 ゚∀从「……どうしましょう」

(´・_ゝ・`)「うーん……迷いますね」

(;´・ω・)(おそらく……いやほぼ100%だが、首輪は一回しか使えないだろう。
      ここまで手の込んだシステムなんだ。一人だけ死ぬようなぬるいものじゃない。
      自分が助かるには、必ず一人を殺す必要があるに違いない。
      必ず一人……か。これなら実験の規定を犯さない。上手い事を考えたもんだ。
      助かるのは最大で七人……いや、飛行機内で一人死んでいるはずだから、生存可能人数は六人)

(;´゚ω゚)(たったの……六人……)


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:12:52.95 ID:8z9AwWUEO
支援

69 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:13:22.04 ID:3eUR0VLy0

(;´゚ω゚)(待て……これはあくまで最大生存人数。増える事は無いが、減る可能性は大いにあり得る。
      何らかの障害が起こり、首輪が使用不能になれば、それだけ助かる人数も減るんだ。
      助かるのは六人以下。六人……以下……!? くそ! くそ! くそ!)

(´・_ゝ・`)「どうしたんですか?」

(;´・ω・)「あ……はい?」

(´・_ゝ・`)「顔色が優れないようですが……」

(;´・ω・)「す、すいません。何しろ昼食を抜いているもので……」


嘘だ。


(;´・ω・)(何て事だ……このシステムが知られれば仲間割れは必至。
      誰も信じられなくなる。首輪を外さない限り、ハンターと獲物の両方を演じなければならない。
      焦りと疲弊が思考能力を奪い、やがて自分だけは助かりたいという衝動に駆られる。
      そうなれば……殺し合い! 命を賭けた首の取り合いが始まる!
      その為のweapon! その為のマシンガン! 首の取り合いが始まる!)


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:13:33.35 ID:EzJWXkyQO
支援…

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:13:36.97 ID:66kgyssc0
sien

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:13:42.41 ID:XZR/ETLZ0
支援

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:14:43.31 ID:8z9AwWUEO
支援

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:15:02.85 ID:EzJWXkyQO
あぁそうですか…
だからタイトルがくびとり合戦なのか…

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:15:06.44 ID:9Ugrmc540
ひwwwwwwwさwwwwwwwびwwwwwwさwwwwwwww

……ま、まってたんだからねっ!! もう////

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:15:19.36 ID:XZR/ETLZ0
支援

77 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:15:33.71 ID:3eUR0VLy0

熱気で汗ばんだ体に、冷や汗が浮かんでくる。
ショボンの呼吸は乱れ、目は虚ろに彷徨っていた。


(;´・ω・)(ヒントBの解放時間まであと二時間弱というところだ。
      次のヒントで首輪について言及するかもしれない。
      ひょっとすれば鍵の取り合い、殺し合いの必要性を教えるかもしれない)

(;´・ω・)(実験のルールに則った殺しは法律を犯さない
      すなわち、殺す必要性を得た時点で殺しの権利を得るという事。
      あまり考えている暇は無い。僕は……一体どうすれば良い……?)


恐怖で全身に鳥肌が立つ。
気を抜けば吐いてしまいそうだった。

体の芯からわき上がる焦燥が、心を焼き尽くしていく。
纏まらない思考がさらなる焦燥を生んでいく。

ショボンは一人、死という圧倒的な脅威と戦っていた。


78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:16:47.33 ID:XZR/ETLZ0
支援

79 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:17:35.64 ID:3eUR0VLy0

――17時15分 空母ワースト――


ロマネスクはモニタ越しに、ショボンの様子をじっと見ていた。


( ФωФ)「首輪のルールに気がついたね」

研究員2「はい?」


独り言とも取れる呟きに、近くの椅子に座っていた研究員が聞き返す。


( ФωФ)「ショボンだよ」


80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:18:42.05 ID:XZR/ETLZ0
支援

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:19:03.83 ID:8z9AwWUEO
支援

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:19:03.94 ID:k7QIsmmv0
支援

83 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:19:11.74 ID:3eUR0VLy0

研究員2「首輪の鍵にですか? まさか、そんな……。
      ヒントBを見ても、完全に理解出来るようなものじゃないのに」

( ФωФ)「わざとヒントを与えた。彼程の頭脳があれば、察する事が出来るよ。
       現に今、ある瞬間から彼の心拍数と発汗率が急上昇した。
       顔色も悪い。気がついた証拠だよ」

研究員2「確かに……ではショボンが一人抜きんでた事になりますね。
      他の被験者はまだ気がついていない様子ですし」

( ФωФ)「どうかな」

研究員2「え?」


モニタの中で、ショボンは苦虫を噛みつぶしたような顔で考え込んでいる。
顔色には彼の焦燥が色濃く表れていた。


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:21:03.20 ID:XZR/ETLZ0
支援

85 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:21:17.10 ID:3eUR0VLy0

( ФωФ)「実験で生き残る上で、最も必要なスキルは何だと思う?」


唐突な質問に、研究員の一人は言葉に詰まる。
その時デスクを挟んだ向こう側の席にいた研究者が、座椅子を回転させてロマネスクを振り返った。


研究員5「やはり頭脳でしょう。戦闘能力は武器で補える。
      いち早く状況を把握し、戦略を立て、それを実行出来る者が一番強い」

研究員2「なるほど」

( ФωФ)「違うよ」


きっぱりと否定された研究員が、ロマネスクに訝しげな視線を送る。
視線に動じる事無く、相変わらずの張り付いた笑みのまま、ロマネスクは続けた。


( ФωФ)「覚悟だ」


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:21:38.45 ID:8z9AwWUEO
支援

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:22:30.62 ID:XZR/ETLZ0
支援

88 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:23:23.47 ID:3eUR0VLy0

( ФωФ)「人体実験は生き残りをかけた殺人ゲーム。
       心身の疲労に耐え、死の恐怖をはね除け、人殺しも辞さない精神力がいる。
       生き残る為に、死ぬ覚悟と、殺す覚悟の両方を決めなければならない。
       まともな精神でいられる人間の方がよほど少ない。だから狂う」

研究員2・5「……」

( ФωФ)「モララーやブーンなんかは特別な存在なんだよね。
       何せ最初から狂っているんだから。強いはずだよ。
       覚悟が無ければ、どんな知略を駆使しようが、どんな強力な武器を使おうが勝てない。
       絶対に勝てはしないんだ」


モニタの中のショボンに動きは無い。
四人の相談に混じろうとする素振りさえ無かった。


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:24:01.85 ID:9Ugrmc540


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:25:09.04 ID:8z9AwWUEO
支援

91 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:25:09.41 ID:3eUR0VLy0

( ФωФ)「覚悟が出来ない奴から死んでいく。それが人体実験なんだ。
       お坊ちゃんのショボンがそんな覚悟を決められるなんて思えないな。
       きっとここで心が折れるね」


一通り話し終えると、ロマネスクは座椅子に腰を下ろし、大きく伸びをした。
研究員たちは無言になると、再び作業に没頭し始めた。


( ФωФ)「これから、どうなるかな……。天の“神さま”次第かな?」


虚空に向かって呟いた言葉に、誰も言葉を返す者はいなかった。


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:25:34.16 ID:XZR/ETLZ0
支援

93 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:27:35.18 ID:3eUR0VLy0

――17時20分 バインウッド・マーケット――


モララーは天才だった。
的確な判断力と順応力で、最善の行動を選択する思考能力を持っていた。
また対人格闘においても、常人を遥に凌駕する戦闘能力を持っていた。

ブーンはモララーと同じように、高いポテンシャルを秘めた人材だった。
傭兵として戦争に参加していた経験から、銃器の扱いにも長けている。
そしてモララーもブーンも、実験という枠組みの中で自らの能力を最大限発揮する力を持っていた。

セブンは経験さえ少ないものの、圧倒的なステータスを持った被験者だ。
殺人において一切の躊躇を持たず、また単純な身体能力においては被験者の中でトップレベルだった。


(´・ω・`)「皆さん」


これら三人は、元々観察側から注目されていた者たちだ。
しかしダークホースは存在した。


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:27:42.78 ID:XZR/ETLZ0
支援

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:28:28.24 ID:k7QIsmmv0
支援

96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:29:22.62 ID:Y3iTUjgOO
やっときたああああああああ

97 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:29:43.15 ID:3eUR0VLy0

(´・ω・`)「地図を選択しませんか?」


先ほどまで青かった顔色に、生気が戻っていた。
いつもの冷静なショボンだ。しかし、目にはみなぎる活力が満ちている。


(´・_ゝ・`)「地図ですか……」

(´・ω・`)「はい。赤のハコの開封条件は二つ。実験開始から24時間経過する事。
     もう一つが5人分の指紋認証です。これら一つを満たす必要がある。
     つまり24時間経過していれば、誰でも開ける事が出来るという事です。
     私たち以外に同盟を組んでいる者たちがいる可能性は、おそらく少ない。
     今のうちに赤のハコを開けて、アイテムを取得しておくとそれだけ有利になるという事です」

从;゚∀从「他の人たちを……はめる、って事ですか?」

(´・ω・`)「違います。ただ我々以外の者で、他の被験者を陥れようとしている者がいる可能性がある。
     いるとすれば一人で行動しているでしょう。他の者を信用しない人間なんですから。
     そういう人間たちに対抗する為に、私たちは準備しなければならないのです」


98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:30:06.03 ID:8z9AwWUEO
支援

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:30:27.97 ID:NVjptjSp0
ひさしぶりいいいいいいいいい

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:30:45.04 ID:XZR/ETLZ0
支援

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:31:36.48 ID:GPUYbPwAO
支援

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:31:53.22 ID:8NGixXbaO
支援

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:31:54.17 ID:D8bmJKO60
支援

104 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:31:55.42 ID:3eUR0VLy0

ミセ*゚ー゚)リ「そうですねー。あのごっつい奴に襲われたらヤバそうだし」

(´・_ゝ・`)「ごっつい奴?」

从 ゚∀从「ブーンさん?」

ミセ*゚ー゚)リ「そうそう。そいつ」

(´・ω・`)「また、対抗する為ではなく助ける為の準備とも言えます。
     我々のように協力して実験を看破しようとする者が他にいたら、助けたいと思うでしょう。
     しかし場合によってはアイテムの力を借りる必要がある。今のままではそれも準備不足です。
     他者を陥れる為では無く、あくまで生き残る為――今は赤のハコを最優先しませんか?」

(´・_ゝ・`)「……うむ」

从 ゚∀从「良いんじゃないんですか……?」

(=゚ω゚)ノ「地図でいいよぅ……」


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:33:17.78 ID:XZR/ETLZ0
支援

106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:33:36.34 ID:8z9AwWUEO
支援

107 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:34:22.04 ID:3eUR0VLy0

(´・ω・`)「……」

(´・_ゝ・`)「……はい、ショボンさんの言う通りですね。地図にしましょう」

(´・ω・`)「ありがとうございます」


ショボンは、それが総意である事を確認するように、今一度四人を見渡す。
全員の顔を確認してから、パネル上で地図を選択した。
機械音が小さく轟き、蓋が開かれる。

黒の地図と同じものだが、所々に赤のマーキングがしてある地図が姿を見せた。
壊れ物を触るような手つきで、ショボンは地図を拾い上げる。


(´・ω・`)「ヒントBの解放時間までに、出来ればもう一つ、赤のハコを開けたいです。
     黒の地図にマーキングを書き写す作業は歩きながらしましょう。今は赤のハコを探さないと……」


四人の横を通り、地図を片手に早足で歩き始める。
後ろにぞろぞろと他の四人がついてきた。


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:35:18.09 ID:8z9AwWUEO
支援

109 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:36:17.14 ID:3eUR0VLy0

ショボンもまた、ある種の天才だった。

彼が覚悟を決めるまでに要した時間は、ほんの数分。
その間に死の恐怖をも打ち砕く強固な精神を手に入れていた。


(´・ω・`)(何としても生き残る。例えこいつら全員を犠牲にしても。
     シャキン兄さんのような犬死にはごめんだ!)


ショボンには、シャキンという仲の悪い兄がいた。
ショボンは要領の悪い兄をいつも見下し、シャキンは弟に対し強いコンプレックスを抱いていた。
二人は表だって衝突した事は無いが、心の底では互いに憎しみ合っていた。

そんなある日、シャキンは実験の被験者に選ばれ、死んだ。
ショボンは遺体安置所で横たわっていた、体中の組織が壊死した兄の死体を見た時、冷ややかな目でこう言い放った。

「馬鹿が」と。


110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:36:23.98 ID:k7QIsmmv0
支援

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:36:34.22 ID:XZR/ETLZ0
支援

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:37:31.59 ID:XZR/ETLZ0
支援

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:37:40.02 ID:8z9AwWUEO
支援

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/13(水) 23:38:02.93 ID:ogceR5yfO
ホントシャキン好きだな

115 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:38:02.99 ID:3eUR0VLy0

ショボンは確かにお坊ちゃんだが、元々タフな心を持っていた。
どんな状況でも自分の頭脳で切り抜けられるという絶対の自信が、その根底にはあるのだ。



――――――――――――――――――――


(メ`ωメ)(腹が減ったな……)


――――――――――――――――――――


( ・∀・)(暇だ……)


――――――――――――――――――――


(〃`_>゚)「……」


――――――――――――――――――――


(´・ω・`)「一番近い赤のハコは……」



116 : ◆CnIkSHJTGA :2008/08/13(水) 23:39:46.51 ID:3eUR0VLy0


“死”は準備している間もなく、被験者たちに襲いかかってくる。
心の弱き者から、“死”はその身を喰い尽くすのだ。



(ハァ……ハァ……)

(腹がァ……減っテ来たよぅ……)



これから彼らは、否応なしに選択を迫られる事となる。
覚悟が出来るかどうかという極限の二者択一を。



第八話「かいらん」へ続く
inserted by FC2 system