4 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:35:49.11 ID:kR7kzlES0
第九話 〔というわけで〕



|/゚U゚| + 激しく到着 +

少しの衝撃と、舞い上がる部屋の埃。
部屋に異変が起こると同時に、長岡、ドクオ、弟者の三人はその中心地を見た。
そこには、寝たままの兄者が縄で括り付けられている忍者が、佇んでいた。

|/゚U゚| + 激しく嫌悪 +

胸元から手裏剣を取り出し、忍者と兄者を繋げる縄を切る。
重い音を立てて、兄者が畳の上に落とされた。
それでも、兄者は目を覚まさなかった。

(´<_`;)「忘れ物……来たな……」

(;'A`)「うん……兄者君、ボロボロだけど……」

この部屋に辿り着くまでに、何度と無くぶつけられたのだろうか。
自前の忍び装束は所々が解れ、血が滲んでいる箇所もある。
なのに、どこか幸せそうな寝顔なのは、兄者だからこそなのであろう。

呆然と兄者の様子を見続ける二人の視界に、突然小さな光が入り込んだ。
発信元は、どうやら長岡の腕らしい。

6 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:38:31.15 ID:kR7kzlES0
『長岡、ワシが送った忘れ物届いたかいな?』

光と同時に声が届く。
荒巻の声だ。
どうやら、荒巻が兄者を届けてくれたらしい。
  _
(;゚∀゚)「あ、長老ですか。今届きました。申し訳ないです」

『別にここに明日まで置いていても良かったんじゃがな、内藤が着いた瞬間に本気で嫌がりおってな』
  _
(;゚∀゚)「あぁ、内藤が着いたんですか。あいつなら仕方ないですね。わかりました。それではまた後で」

『おう、さっさと反省会終わらせてワシは寝るぞい』

その声を最後に、光が消える。
長岡が一息つき、そして三人の方へと目を向けた。
  _
( ゚∀゚)「とりあえずお前らの部屋に案内する。どうせ場所覚えてないんだろ? さっさとついてこい」

そう言いつつ、長岡が壁に寄り掛かる。
すると、鈍い音を立てて壁が少し傾いた。
そのまま、扉と化した壁は回転を始める。

(´<_` )(あの扉、内側からはスイッチなんか無いのか)

眠っている兄者を背負いながら、冷静に弟者は分析していた。
段々と自分がこの環境に慣れている事に、弟者は気付かない。
非常識も、断続的に続けば常識へと姿を変えるのだ。

8 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:40:55.94 ID:kR7kzlES0
  _
( ゚∀゚)「しっかりと覚えとけよ。まずこの部屋がドクオ、お前の部屋だ」

長岡の部屋を出て、しばらく歩く。
不意に長岡が立ち止まり、一つのスイッチを指差した。
どうやら、そこがドクオの部屋らしい。

(;'A`)「あの……目標がないとわからないんですけど……」

壁に規則的に並ぶスイッチの数々。
一つ一つにこれといった特徴があるわけでもない。
ドクオの言う通り、見分けるのは至難の業であった。
  _
( ゚∀゚)「なら表札かなんかでも掛けとけ。オラ、さっさと入れよ。俺はこの後も忙しいんだから」

(;'A`)「は、はい。……それじゃ弟者君、また後で」

(´<_` )「……おう」

スイッチを押す。すると、回転が始まる。
扉の回転に合わせて、ドクオが部屋に入っていった。
それを弟者は、ただ見ていた。

(´<_` )「やっぱり回転扉って忍者のあれですか?」

ドクオが部屋に入ってから、再び歩き始める。
少し時間が経つと、弟者が口を開いた。

10 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:43:35.67 ID:kR7kzlES0
  _
( ゚∀゚)「あれって何だ?」

怪訝そうな表情を浮かべ、長岡が聞き返す。
弟者の質問は、些か言葉足らずだったようだ。

(´<_` )「あの、俺って忍者の屋敷とか聞くとまず最初に隠し扉とか思い付くんすよ。
       で、漫画とかテレビで見る限り、それってだいたい回転扉なんですね。だから、それからとったのかなって」

先程の質問を、更に細かく。
回転扉について前々から気になっていた事を、長岡にぶつける。
弟者の中での忍者の回転扉と、ここの回転扉は繋がっているのかを。

そして、しばらくの沈黙。
  _
( ゚∀゚)「そういや、昔の人達も人力で回転扉を使ってたらしいぞ。電動式な今から見れば不自由極まりないけどな」

やはり、弟者が思い描く忍者から、回転扉は来ていた。
更に、長岡は話を続ける。
  _
( ゚∀゚)「お前らがさっき乗ってた乗り物な、あれも昔の人達をモチーフにしてるんだ」

(´<_`;)「え? モチーフって……。生き物じゃないんですか?」

長岡の言葉に、戸惑いを隠せないでいる弟者。

11 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:46:28.14 ID:kR7kzlES0
  _
( ゚∀゚)「普通の生き物があんな動き出来るわけ無いだろうが。長老が子どもの頃はあんな人がそこらにいたらしいがな」

小さく笑って、弟者の疑問に答える。
口調はとても軽い。
長岡にとって、大した事ではないのだと言うかのように。
  _
( ゚∀゚)「あれはなんて言うかな……。まぁ、とあるところで大量生産されてるんだ」

(´<_` )「ロボットのような物すか?」
  _
( ゚∀゚)「んー……。とりあえずはそんな感じで捉えておいてくれ」

その言葉を最後に、短い沈黙が訪れる。
しばらくは、二人の足音と兄者の寝息だけが、板張りの無機質な廊下に響いた。
そして、長岡が立ち止まる。
  _
( ゚∀゚)「ここがお前の背中にある荷物の部屋だ。放っておけ」

(´<_`;)「えぇ!?」

長岡の言葉に反応し、弟者が素っ頓狂な声を出す。
あまりの驚きを、胸の内に閉まっておく事が出来なかったのだ。
しかし、それも致し方のない事なのだろう。

(´<_`;)「これ……部屋って言うより……」

ダンボール。
それが、弟者の目の前に置いてあったのだ。

15 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:49:19.18 ID:kR7kzlES0
  _
( ゚∀゚)「ん? なんか問題でもあんのか?」

悪びれもせずに、長岡が首を傾げる。
本気で兄者をスネークの如くダンボールに詰め込む気なのか。
これには思わず弟者も反論する。

(´<_`;)「いや、これは人間の住める環境じゃないでしょ……常考」
  _
( ゚∀゚)「でもこいつ、ここに来た時もこの部屋を気に入ってたぞ?」

(´<_`;)「さすがにそういう冗談は笑えないんすけど……。兄者はこれでも一応兄弟なんで」

いくら素行が悪かろうと、兄者は弟者にとって血の繋がった大切な兄なのである。
平然とダンボールに住ませようとする長岡に、反論を続ける。
と、兄者が弟者の背中で目を覚ます。

(*´_ゝ`)「おはようごz……アッー! 良いダンボール!」

目覚めの一声。
それと共に弟者の背中から飛び降りる。
そしてそのままダンボールの中へと飛び込んで入った。

その光景を見つめ、しばらく弟者は放心していた。
兄者の行動が不可解すぎたから。

(´<_`;)「え? 俺の反論って全て無駄になる展開なのこれ?」

17 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:51:44.55 ID:kR7kzlES0
標準サイズのダンボールに入り、捨て猫のような姿で笑みを浮かべる兄者。
上に開かれた口から、頭だけを出して弟者を見つめる。

(*´_ゝ`)「これで俺かわいくね?」

何故か恍惚とした表情。
そんな兄者を見て、弟者は小さく溜息一つ。
そして、兄者の分の木刀をダンボールに投げいれた。

( ´_ゝ`)「ん? 何これ?」

(´<_` )「土産屋で買った木刀だ。さっきの爺さんが大切に持っとけって言ってた」

(*´_ゝ`)「よっしゃ。今日からこの木刀は俺のペットな」

木刀を大事そうに抱き締める。
ダンボール内という狭い空間で、なかなか器用な事をやってのけるものだ。
  _
( ゚∀゚)「そんじゃ次は弟者の所行くぞ」

(´<_` )「うす……。じゃあな、兄者」

(*´_ゝ`)「木刀かわいいよ木刀。ちゅっちゅしたいよ」

弟者の言葉など何処吹く風で、木刀に頬擦り。
長岡は先に歩いていってしまう。
弟者も、兄者を最後に一目見た後、長岡に従って歩いていった。

19 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:54:46.72 ID:kR7kzlES0
  _
( ゚∀゚)「お前の部屋はここだ」

長岡が立ち止まる。
そこには、何となく見覚えのあるスイッチがあった。
とは言っても、部屋を出た時にちらりと見ただけではあるが。

(´<_` )「どうもっす」

ポツンと壁に浮かぶスイッチに、指を軽く当てる。
そして、押した。
鈍い音を立てながら、扉が回転を始める。
  _
( ゚∀゚)「じゃあ明日の朝に俺の部屋に来いよ。スイッチが特徴的だからわかるだろ」

(´<_` )「あの埃まみれのですよね」
  _
( ゚∀゚)「あぁ、そうだ。そんじゃあな」

回転に沿って、弟者が部屋に入る。
板葺きの廊下から、畳敷きの和室へ。
回転する扉の隙間から見えた長岡は、笑顔を絶やさずにこちらを見ていた。

(´<_` )「さよなら」

扉の回転が止む前に、別れの言葉を告げる。
その言葉は、扉の隙間をかいくぐって長岡の耳に届いた。

21 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 21:59:30.68 ID:kR7kzlES0
  _
( ゚∀゚)「うし、戻るか」

全員を部屋に送り、必然的に長岡が一人になる。
長い長い廊下を一歩ずつ、元来た道を辿っていく。
定期的に、一つの足音が響き渡る。

行きは話しながら来たせいか、すぐに弟者の部屋まで着いたように感じた。
しかし、帰りは一人。
やけに道のりが長く感じる。

しばらく歩いていると、兄者の部屋の前に着く。
ダンボールの中で、木刀を抱きながら眠りこける兄者の姿が目に入った。
  _
(;゚∀゚)(あんだけ寝たのにまだ寝るか)

軽く呆れながら、通り過ぎる。
心地良さそうな寝息が、少し離れても聞こえていた。
  _
(;゚∀゚)(俺が充てといてなんだが、あのダンボールでよく寝られるな)

段々と兄者の寝息が小さくなっていく。
離れていった証拠だ。
やがて、完全に聞こえなくなった。
  _
( ゚∀゚)(……ん?)

22 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:01:52.86 ID:kR7kzlES0
規則的に並び続けるスイッチの数々。
その中の一つに、長岡は違和を感じ取った。
一つだけ、何かが掛かっているのだ。
  _,
( ゚∀゚)「なんだこれ……?」

一歩近付くごとに、段々と姿を大きくする違和感。
茶褐色の、板状の物。
何か黒い字が書かれているようだ。

よく見ると、そのスイッチのある扉が少し開いている。
小さな隙間から、棒状の物が飛び出ていて、板をぶら下げているようだ。
近付いた長岡が、板を確認する。
  _
( ゚∀゚)(『ドクオの部屋』……なんで普通の部屋みたいなノリで……)

板状の物は、表札であった。
何処から取り出したのだろう。
出所がわからない板に、しっかりと名前が記されている。
  _
( ゚∀゚)(まさか本当に表札作るとは……)
  _
(;゚∀゚)(って、表札ぶら下げてるの種じゃねぇか!)

長岡が木刀の存在に気付き、慌ててそれを抜きとる。
即座にスイッチを押し、回転に合わせて部屋の中へ入った。
中には、畳の上で寝転がるドクオの姿があった。

24 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:04:51.14 ID:kR7kzlES0
  _
(;゚∀゚)「おいコラ! ドクオ!」

(;'A`)「うわっ、ビックリした……。なんですか……?」

身体をビクつかせ、長岡の元へと目を遣る。
部屋の居心地が良いのか、すっかり寛いでいたようだ。
  _
(;゚∀゚)「お前長老に言われた事忘れたのか!」

(;'A`)「言われた事……? えっと……なんでしたっけ?」
  _
(;゚∀゚)「木刀を大切にしろって事だよ!」

狭い部屋の中、何もない部屋の中。
長岡の声が嫌に響く。
そして、数秒の時間差を持って、

(;'A`)「あー!」

ドクオがやっと思い出す。
ドクオの声もまた、長岡のと同じく。
小さな部屋に大きく響き渡った。
  _
(;゚∀゚)「……ったく、気を付けろ」

(;'A`)「すみません……」

長岡がドクオに木刀を手渡す。
ドクオは、心底申し訳なさそうな顔をしていた。

26 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:06:51.83 ID:kR7kzlES0
  _
(;゚∀゚)「それよりお前、どこから表札になるような板取り出したんだ?」

長岡が、辺りを見渡す。
四方の壁、敷き詰められた畳、見上げれば天井。
どこにも、板が剥がされた後などはない。

かといって、ドクオが元々板を所持していたとは考えづらい。
ならば、あの板は何処から出てきたのか。

(;'A`)「あの、あれはですね……。板を探しに外に出てみたら丁度良いダンボールがあったんで……。
    で、廊下の煤とか集めて字を書いてみたりなんかしちゃったり……」
  _
(;゚∀゚)「……え?」

(;'A`)「なんか変な寝息が聞こえたけど、気にしないで一部とっちゃっ……まずかったですか?」

ドクオが長岡の表情を覗う。
完全に焦りと困惑が見て取れる表情だ。
誘発されて、ドクオも焦り始める。
  _
(;゚∀゚)「お前……中に人がいるの見えなかった……?」

(;'A`)「そういや兄者君みたいな面影も見えたかなー……なんて」
  _
(;゚∀゚)「そこまで見えてるなら取るなよ……。まぁ、兄者だし良いか」

(;'A`)(良いんだ……)

27 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:08:27.82 ID:kR7kzlES0
  _
( ゚∀゚)「とにかく、だ。種……お前らに合わせると木刀な。ちゃんと大事に扱えよ」

そう言って、長岡が扉に身体を預ける。
回転を始めようとする、その時。

(;'A`)「あの……表札はどうすれば良いんですか?」

先程扉が開いた際に落ちた自作の表札を手に取り、ドクオが尋ねる。
これがなければ自分の部屋がわからない。
ドクオにとって、死活問題なのだ。
  _
( ゚∀゚)「ったく、しょうがねぇな」

長岡が、腕の忍具を弄る。
すると、忍具の中の二本の針が高速で回転した。
しばらくすると、時折何かが弾けるような音を立て始める。
  _
( ゚∀゚)「ほい」

長岡が扉に意識を向けると、ドクオの手にあった表札がふわり、手から離れて浮く。
とほぼ同時に、表札が扉に張り付いた。
  _
( ゚∀゚)「静電気で張り付けといた。強力だから剥がれる事はないはずだ」

(;'A`)「ありがとうございます」

31 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:11:33.65 ID:kR7kzlES0
扉を回転させて、外へ出る。
丁度回転に合わせて、表札が廊下側に顔を見せた。
  _
( ゚∀゚)(これであいつも迷う事はないだろ)

どこか満足げな表情を浮かべ、歩き始める。
目指すは、自分の部屋。
そして、先程までいた長老の家だ。

たくさんのスイッチが、前から後ろへ。
長岡の歩く速度に合わせて流れていく。
これも既に、長岡にとっては見慣れた風景であった。
  _
( ゚∀゚)(そろそろかな)

歩き続ける事数分。
遂に、埃まみれのスイッチを見付ける。
自らの忍具によって、汚されたスイッチを。
  _
( ゚∀゚)(いつ見ても汚いな……。だから内藤も俺の部屋に入りたがらないんだろ)

スイッチを押し、扉を回転させる。
何度回転させただろうか。
既に長岡は覚えていない。

それでも毎日毎日、この回転する扉を潜って部屋に入るのだ。
スイッチ同様、埃まみれなこの部屋に。

33 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:14:15.66 ID:kR7kzlES0
|/゚U゚| + 激しく待機 +
  _
( ゚∀゚)「うし、行くか」

既に部屋には忍者を待たせていた。
背中に乗り、尻を叩く。
物凄い速度で、忍者は天井を抜けていった。
  _
( ゚∀゚)(ん、そろそろか)

見慣れた町並みに出る。
高速で流れては行くが、それでも長岡はわかった。
それほどまでに、幼い頃から慣れ親しんだ町なのだ。

やがて、先程までいた家が見えてくる。
長老、荒巻の家だ。
忍者が砂埃を上げながら、ドアの前で止まる。

\(;^o^)/「うべべべべべ」
  _
(;゚∀゚)「……あれはオワタ?」

忍者から降りた長岡の視界には、忍者を乗りこなせていないオワタの姿が映っていた。

34 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:16:58.52 ID:kR7kzlES0
\(;^o^)/「俺オワタ」

長岡がオワタに気付いた時には、既に壁にぶつかりそうになっていた。
それでもオワタは笑顔。
笑いながらも焦っていた。
  _
(;゚∀゚)「あぶねぇ」

忍具を弄くる。
対象はオワタ。
それと地面の間に静電気を発生させる。

オワタは地面に引き付けられ、忍者から離れた。
乗客を失った忍者はそのまま壁へと激突。
跡形もなく消え去ってしまった。
  _
(;゚∀゚)「また乗り物無駄にしやがって……」

\(;^o^)/「正直スマンカッタ」

オワタを軽く窘めて、腕を取る。
地べたに寝転がっていたオワタを立たせた。
そして、そのまま荒巻の家へと入っていく。

36 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:19:27.07 ID:kR7kzlES0
玄関に一歩踏み入れれば、そこは機械音で溢れている。
ベルトコンベアーから、何に使うのか良くわからない機械まで。
一つたりとも、漏れなく音を立てている。
  _
( ゚∀゚)「ん? この音は……」

溢れ返す音の中、長岡は少しの違和感を覚える。
沢山の音に紛れた、一際目立つ音。

\(^o^)/「掃除機の音……?」
  _
( ゚∀゚)「やっぱりそうか。……じゃあ内藤だな」

玄関のすぐ脇。
荒巻の住む部屋から、その音は届いてきた。
  _
( ゚∀゚)「よし、入るぞ」

指をスイッチに当てて、力を込める。
もうこのシーンを何度描写しただろうか。
扉が回転して、中の部屋の様子が垣間見える。
  _
( ゚∀゚)「只今あの三人を届けてきました」

\(^o^)/「遅れて申し訳ないんだZE。何回も事故る俺オワテタ」

40 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:22:50.74 ID:kR7kzlES0
長岡とオワタが、回転に沿って部屋に入る。
まず初めに目に付くのはピンク色。
長老、荒巻の忍び服だ。

次いで、先程から気になる音の原因。
それが目に入った。

/ ,' 3「おぉ……おかえり」

( ^ω^)ノ「おいすー。長老の部屋が汚かったから掃除してたところだお」
  _
( ゚∀゚)(さっきいた時そんなに汚れてなかったよな……)

掃除機を掛ける男。
若干福与かな身体を忍び装束に包み、ひたすら掃除に励んでいる。
ドクオが登下校中に見ていた忍者と、全く同じ姿をしていた。

\(^o^)/「内藤は相変わらずの綺麗好きなようです」

(;^ω^)「アッー! オワタ! 背中が泥だらけだお! 折角綺麗にしたのに部屋が汚れちゃうお!」

内藤と呼ばれた男が、床に掛けていた掃除機を持ち上げ、オワタに向ける。
先程忍者から降りた時に付いた土であろうか。
確かに、オワタの忍び装束は泥だらけになっていた。

(;^ω^)「ほら! これでキレイキレイだお!」

\(;^o^)/「ちょwwww痛wwwwww俺オワルwwwww」

44 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:25:02.47 ID:kR7kzlES0
内藤がオワタに掃除機を宛がい、最大出力で吸い上げる。
逃げるオワタに追う内藤。
  _
( ゚∀゚)/ ,' 3「……」

長岡と荒巻は、ただ見ているだけであった。
部屋の中に、掃除機の吸引音とオワタの悲鳴が響き渡る。

 ◎ ◎
◎   ◎ティウンティウン

(;^ω^)「やべwwwww」
  _
( ゚∀゚)「あーあ」

最終的に、オワタは破裂した。
掃除機の吸引力に、耐えきれなかったようだ。
部屋の中の人数が、4人から3人に変わる。

/ ,' 3「まぁ、その内戻ってくるじゃろ」

荒巻が、若干呆れながら言う。
ピンク色の忍び装束も、心なしか普段よりも色が映えていないように見えた。

47 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:27:59.64 ID:kR7kzlES0
( ^ω^)「ところで、反省会ってなんの反省をするんですかお?」

脳天気な声で、内藤が尋ねる。
そして数秒の間。
何かを思い付いたかのように、内藤が顔を上げた。

( ^ω^)「あぁ! 長岡の部屋の汚さをどうにかするって話ですかお!」
  _
( ゚∀゚)「お前についてだよ」

(;^ω^)「えぇー」

即座の否定に、内藤が戸惑う。
それを見かねたのか、荒巻が口を開いた。

/ ,' 3「今日、ドクオ君達が来たんじゃ」

(;^ω^)「お? 彼が……ですかお?」
  _
( ゚∀゚)「あぁ、お前がドクオのイメージに乗っかった見学を止めてから、は瀬川の奴らも増えてきたしな。
     仕方なく長老がドクオ達を呼び出しなさったんだ。ドクオの想像力は野放しにしておくには危険すぎる」

( ^ω^)「え? は瀬川の奴ら、ドクオ君の想像力を利用し始めたんですかお?」

/ ,' 3「らしいの。お前が抜けた穴に喰らいついてきたようじゃ」

50 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:32:15.62 ID:kR7kzlES0
( ^ω^)「そうですかお……」

俯き、内藤が何かを考える。
顔に落とされた影は、暗い。

/ ,' 3「でのぅ、ドクオ君達にも忍者になるための修行を積ませたいんじゃが」
  _
(;゚∀゚)(;^ω^)「えぇ!?」

荒巻の提案に声を揃えて驚く。
部屋の中の空気が、微かに震えた。
  _
(;゚∀゚)「正気ですか?」

/ ,' 3「当たり前じゃ。もとよりそのつもりでこっちに呼び寄せたんじゃしな」

(;^ω^)「は瀬川の発生を止めるにはここに幽閉だけで良いと思いますお」

/ ,' 3「それだけでは、まだ上にドクオ君並に想像力豊かな子がいたら意味がないじゃろ。
    だからワシは彼らを戦力とする。そして、は瀬川達を統括するバルケンに決着を付けてやるわい」

力強く。
荒巻が決意を語る。
それに気圧された二人は、ただ頷く事しかできなかった。
  _
(;゚∀゚)「やっぱり奴らを選んだのはそのつもりだったんですか……。
     確かに『想像力』はともかく、『粗チン』を揃わせるのはおかしいと思ったんですよね……」

長岡が、何かを諦めたかのように語る。

51 名前: ◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/03/17(月) 22:35:20.87 ID:kR7kzlES0
(;^ω^)「『粗チン』まで揃わせたんですかお?」

長岡の言葉に、内藤が驚きを見せる。
『粗チン』
何処まで重要な言葉なのだろうか。

/ ,' 3「あぁ、しかも『粗チン』の二人は『異質』と『秩序』をも揃えておる」

(;^ω^)「完全にやる気満々だったわけですおね……」
  _
(;゚∀゚)「早くから気付いとけばよかったな……」

二人同時に肩を落とす。
荒巻の意志を予想できなかった反省。
それと、ドクオ達三人に対する申し訳なさが混ざり合った結果だ。

/ ,' 3「さて、明日が楽しみじゃ」

心から楽しそうな荒巻。
それを見つめ、更に落胆する長岡と内藤。

そして、彼らの知らぬところ。
家の外ではひたすらオワタが破裂していた。

\(;^o^)/「乗りこなせNEEEEEEEEEEEE! 家入れNEEEEEEEEEEEEEEEEEE!」

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