('A`)ドクオと忍者のようです

2 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:18:15.23 ID:zqnJJebc0
第六話 〔状況説明お願い〕



(´<_`;)「ん……んん……」

長く寝過ぎたときの倦怠感というべきか。
それに似た感覚が、弟者を包む。
どうやら気を失った後、誰かに横にされていたようだ。

上半身をゆっくりと起こし、辺りを見回す。
特に何も無い、平凡な和室。
うっすらと暗い部屋の中、どうやらいるのは弟者一人だけらしい。

(´<_`;)「ここは一体……?」

未だ醒めきらない頭を無理に動かして、現象を把握しようとする。
しかし、上手く考えが纏まらない。

まず、何故自分がこの場所にいるのか。
そして、いつから、どのくらいいたのか。

(´<_`;)「そういや……あいつら!」

遂に、自分がここまで来た経由を思い出す。
と同時に、最後の疑問が浮かぶ。
兄者とドクオの、居場所はどこか。

5 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:21:10.83 ID:zqnJJebc0
(´<_`;)「くそっ!」

弟者はやっと冴えた頭で、自分の取るべき行動を判断した。
立ち上がり、部屋の外へ出ようとする。

(´<_`;)「な……!」

しかし、弟者のいる部屋は何も無さ過ぎた。
床には畳、あとは少し痩けた色をした壁、天井と弟者を囲むその空間。
そこに、出口など無かったのだ。

(´<_`;)「どうなってんだよ……」

四方全ての壁に目を遣った。
だが、一分の隙間も見当たらない。

巨大な箱。
和室を形容するには、この言葉がピッタリであろう。
その中に、弟者は閉じ込められていた。

抜け出せるはずもなく、ガックリと肩を項垂れる。
出口がない。そして、何をしても出られない。
弟者に、為す術はなかった。

(´<_`;)「あぁ……本当についてないな……」

弟者の溜息一つ分、その部屋の空気が重くなった。


(´<_` )「……ん?」

ふと、弟者の耳に微かな機械音が入ってきた。
何もない部屋で、何故そのような音がするのだろうか。
そんな思いに駆り立てられた弟者は、もう少し部屋を調べてみる事にした。

(´<_` )「音がするのは……この辺か」

一枚の壁の前に立つ。
先程よりも、はっきりと聞こえる機械音。

(´<_` )「どうやらこの壁に何かありそうだな」

何もない部屋、響く音。
そこに一人、存在する弟者。
ゆっくりと、壁に手を伸ばす。

と、突然壁が弟者に迫ってきた。

(´<_`;)「うわっ!」

反射的に後ろへ下がる。
一体何が起きたのか。
距離を取った弟者は、壁に目を遣り確かめた。

(´<_`;)「これは……回転扉……?」

迫ってきたかと思われた壁は、回転していたのであった。


7 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:23:48.28 ID:zqnJJebc0
(#)_ゝ(#)「おー、弟者。やっと起きたのか」

(´<_`;)「……誰だ?」

回転する壁と同時に、顔面の凹凸の激しい忍び装束が部屋に入ってきた。
あまりの変貌に、思わず弟者は身構える。
本気で誰だかわからないようだ。

(#)_ゝ(#)「オレオレ。俺だよ俺。ちょっと交通事故起こしてさ、相手の妊婦さんにボコボコにされた。嘘だけど」

(´<_`;)「その鬱陶しい言葉……、兄者か?」

(#)_ゝ(#)「流石だな弟者。特徴的な池面フェイスを隠しても俺だと見抜くとは」

(´<_` )「特徴的なブサメンフェイスが一層酷くなっただけだ」

(#)_ゝ(#)「なんだとぉ!」

弟者の言葉に反応し、腕を回転させながら兄者が突っ込んでくる。
兄者としては、「このぉ!ポカポカ!」的な萌えキャラ行動のつもりらしい。
しかし、既に大人と言っても良いほどの年齢の兄者がこれをやるとなると、弟者にとっては洒落にならなかった。

(´<_`;)「ちょ、痛い! 死ね! 痛い! ……いい加減にしろ!」

弟者の渾身の右ストレートが、兄者の顔面にのめり込む。

(#)_ゝ(#)「うぴょ……!」

変な声を出して、兄者は盛大に倒れた。

8 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:25:42.32 ID:zqnJJebc0
(´<_`;)「おい……そろそろ起きろ」

兄者が倒れて数分後、目を覚ますまでの時間を待ちきれなかった弟者が兄者の身体を揺する。
弟者としては、一刻も早く自らの置かれた状況を把握したいのだ。
その為には、兄者の持つ情報も必要だった。

( ´_ゝ`)「……みょ?」

顔が元に戻った兄者が、目を覚ます。
凸凹な顔に弟者の打撃が入ったのに、何故か元通り。
『マイナス×マイナス=プラス』のような原理なのだろうか。

( ´_ゝ`)「ん、どうしたんだ?」

(´<_` )「やっと起きたか。それは俺の台詞だ。俺らは何でここにいる?」

惚けた様子の兄者に、弟者が質問を投げ掛ける。
起きたばかりの兄者は、少し考える格好をとって、そして口を開いた。

( ´_ゝ`)「ここは俺はマジレスする空気なのか?」

(´<_` )「少し考えた挙げ句の返答がそれか。ある意味流石だな。でも空気嫁」

狭い空間の中、兄者と弟者と二人だけの空間。
それでも、どこかしら兄者は浮いていた。

12 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:28:16.58 ID:zqnJJebc0
( ´_ゝ`)「えっとな、まず土産屋から降りたろ? そしたら店員がそこにいて
( ´_ゝ・`)『それじゃあ私は戻りますね。店を開けっ放しにするのもあれなんで。すぐに迎えの者が来ると思います』
      とか言って何か一瞬で消えちゃったんだ。で、ドクオと待ってたら急に連れて行かれちゃったわけだ」

(´<_` )(途中のAAは兄者なりの物まねなんだろうか……)

弟者の心の中に、小さな疑問が生じた。
だが、特に大した意味もない疑問だったので、すぐに弟者は流していった。

( ´_ゝ`)「んで、いきなり気を失って、起きたら変な部屋にいた。ちょうどこの部屋みたいな。
      寂しかったから指しゃぶりしていたらな、急に壁から俺を連れて行った忍者が現れたんだ」

兄者が説明を続ける。
その中の、何気なく言われた情報に、弟者は反応を示した。

(´<_`;)「な……、忍者ってあいつのことか?」

( ´_ゝ`)「あいつって? 良くわからんから俺みたく物まねして伝えてくれ」

(´<_`;)「は? なんで俺がそんな事……」

(*´_ゝ`)「やらないならもう説明しなーい」

心の底から楽しそうな表情を見せる兄者。
対照的に、早く状況を知りたい故、焦りの色が見え隠れする弟者。
精神的に有利なのは、言うまでもなく兄者であった。

15 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:30:17.97 ID:zqnJJebc0
(*´_ゝ`)「はやくはやく!」

(´<_`;)「そんなことよりも早く状況説明をs(*´_ゝ`)「やらないならもう説明しなーい」

(´<_`;)「く……!」

弟者の様子を見ながら、兄者が小躍りしつつ物まねを迫る。
何がそこまで楽しいのだろうか。
まるで楽園を見付けたかのような幸福感が、兄者の顔から滲み出ていた。

(´<_`;)「……くそ!」

どうすれば物まねを回避できるか思考を巡らせる。
しかし、いくら考えてもその答えは出なかった。
それどころか考えれば考えるほど、兄者の言う事を実行するのが一番手っ取り早い方法だとわかってしまう。

兄者は変なところで頑固というか、意地っ張りなのである。
どうせ物まねを逃れる事などできまい。
そう考え、弟者は小さく口を開く。

(´<_`;)「わかった……見てろよ……」

(*´_ゝ`)「ktkr! wktkwktk!」

兄者の輝く眼差しを受け、不本意ながらも弟者は覚悟を決める。
深く息を吸い、吐く。心を、落ち着かせて。そして――

(/゚<_゚) + 激しく真似 +

――やってしまった。色々な意味で。

17 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:33:28.20 ID:zqnJJebc0
( ´_ゝ`)「…………」

しばしの沈黙。
兄者が、弟者を見つめている。

(/゚<_゚;)「……」

何も言えない、弟者。
気まずいと形容するには生易しすぎる空気が、部屋に流れる。
ふと、兄者の口が歪んだ。

( ´,_ゝ`)「…………プッ」

(;<_; )「うわぁあっぁぁあぁぁぁああぁあああぁぁあぁあああ!!!!!」

弟者は、叫びながらその場に蹲った。
出来ることなら、消えてしまいたい。
心からそう願った。

(;'A`)「あの……弟者君、どうしたの?」

泣き崩れる弟者の耳に、不意に届く声。
涙で歪む視界を声の元に向けると、そこには心配そうな顔をしたドクオがいた。

( ´_ゝ`)「弟者は今絶望キャンペーン実施中だ」

(;'A`)「え? そ、そうなんだ……。それより『早く呼んでこい』ってあの人が言ってたよ……」

20 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:35:44.15 ID:zqnJJebc0
(;<_; )「あの人……?」

ドクオの言葉に、疑問を抱く。
一体、誰が呼んでいるのだろうか。
ここに来てから、弟者には何もかもわからない事だらけであった。

( ´_ゝ`)「そうだった。話は一旦中断でとりあえず行こうか。弟者、いや……」

そこまで言って、兄者が弟者に近寄る。
そして、泣いている弟者の耳元でそっと囁いた。

( ´,_ゝ`)「忍者君……。プッ」

(;<_; )「うわああああああぁぁぁああぁあああぁああああぁあぁあぁああ!!!!!!」

弟者は、更に過酷な絶望を体験した。
この世の全てが信じられない。
そんな心境に陥ってしまっていた。

(;'A`)「じゃあ……行こう?」

二人のやり取りを眺めながら、ドクオが声をかける。
流石にこれ程痛めつけられた弟者を見て、同情しているようだ。

(;<_; )「……」

全てを信じられなくなった弟者の目には、この流れを断ち切ろうとしているドクオの姿が眩しすぎた。

21 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:37:22.02 ID:zqnJJebc0
(;<_; )(今までキモドクオなんて言ってごめんな……)

弟者は心の中で謝罪しながら、ゆっくりと起きあがる。
気の毒そうな顔をしているドクオを先頭に、
どこか流れが断ち切られて残念そうな兄者と、目に涙を溜めた弟者が続いて壁を通った。

(ぅ<_; )(この扉……回転しているのは電気が動力か……)

扉を見ながら、弟者は漠然と思う。
部屋の中で聞いた機械音も、きっとこの扉の動力源の音なのだろう。
和室に自動回転ドアという噛み合わない組み合わせが、弟者の興味を醸した。

三人が扉をくぐると、そこは板張りの床が伸びる廊下であった。
外から見ると、スイッチがある。
これを押す事によって外側から開閉が出来るようだ。

(´<_` )(見逃しただけで内側にもスイッチがあったのかもな)

扉が表立って無い分、えらく質素な廊下であった。
壁も等間隔で並ぶスイッチの他には何もない。
全ての部屋が、先程まで三人がいた部屋と同じ仕組みになっているようだ。

('A`)「えっと……あ、ここだ」

ドクオが一つのスイッチの前で立ち止まる。
そこのスイッチは、何故かやたらと埃にまみれていた。

23 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:39:12.13 ID:zqnJJebc0
('A`)「今がどんな状況か全員揃ったら説明するって、この中の人が言ってたんだ」

(;'A`)「だけど……」

ドクオの指が、スイッチに触れようとする。
しかし、押す事はない。
微妙に離れた状態のままでドクオは止まっていた。

(´<_` )「おい、どうしたんだ?」

その様子を見て、弟者が怪訝に思ったのだろうか。
思わず声をかける。

(;'A`)「あ、いや……別に……」

(*´_ゝ`)「俺が代わりに押してやろうか?」

その会話に、何故か頬を赤らめた兄者が入ってきた。
戸惑うドクオに、乗り気な兄者。
そして、何一つ状況がわかっていない弟者。

それらが指し示す展開は、一つ。

(´<_` )「良いからさっさと押してくれ」

弟者による、飽きであった。

26 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:41:01.17 ID:zqnJJebc0
(*´_ゝ`)「じゃあ俺が押すぞ! 文句ないよな?」

(;'A`)「う、うん……」

ドクオの返事を聞き、兄者が前に出る。
ドクオを退けて、スイッチへと手を伸ばした。
そして、触れる。

(*´_ゝ`)「ンギモッヂイイ!」

何かが炸裂したような激しい音が鳴った。
同時に、兄者が恍惚とした表情で床に倒れ込む。

(´<_`;)「ちょ、どうした! 兄者!」

(*´_ゝ`)「アフンアフン!」

(;'A`)(……)

定期的に身体を震わせ、それに合わせて兄者が嬌声をあげる。
弟者は心配そうな顔で、兄者を見ていた。
ドクオは、呆然と一人取り残されることとなる。

そんな三人の状況などどこ吹く風で、扉は回転し続けていた。
誰も通らない扉は、ただ内側と外側の空気を混ぜ合わすだけだ。

『寒い寒い!』

中から、声が響く。

28 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:44:06.12 ID:zqnJJebc0
(;'A`)「あ、すみません」

部屋の中へと一声かけて、ドクオが我に返る。
弟者の方へ目を向け、地面の兄者へ目を向け。

(;'A`)「じゃ、行こうか? そこで全部説明してもらえると思うし……」

(´<_` )「あぁ……」

(*´_ゝ`)「よし、行こう!」

兄者が起きあがり、若干前屈みなままで先頭を突っ切った。
扉が回転する度、一人ずつ入っていく。
三回転目で弟者が入った時、そこには異様な空気が流れていた。
  _
(#゚∀゚)「遅い! 寒い! 臭い! お前また射精したな! ふざけるな!」

(*´_ゝ`)「フヒヒwwwwサーセンwwwwwww」

兄者が、物凄い勢いで見知らぬ忍び装束の男に怒られていたのだ。
その近くでドクオが、非常に居づらそうな顔をしている。

(´<_` )(あぁ……帰りてぇ……)

どこか漠然と、弟者は思った。
それほどまでに、この一室の雰囲気が悪かったのだ。

30 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:45:58.11 ID:zqnJJebc0
  _
(#゚∀゚)「大体何で人一人呼ぶだけで何十分もかかるんだ! こっちはこんな陰湿な奴と二人っきりで待たされてたんだぞ」

(;'A`)(俺も辛かったんだけどなぁ……)

(*´_ゝ`)「フヒヒwwwwサーセンwwwwwww」

混沌。
部屋の状況を一言で表すとしたら、これが最も適するだろう。

兄者を怒鳴りつけている男。見た限りでは二十代前半辺りか。
忍び装束を身につけているが、手首にはやたらと高そうな時計のような物が巻かれていた。
それが忍び装束の中では浮いた存在となっていて、やたらと目立っている。

部屋の間取りは、弟者がつい先程までいた部屋と全く同じ。
特に何もない、質素な空間。
ただ一つ違うところをあげるとすれば、

(´<_` )(埃が凄いな……)

畳全体を薄い埃のベールが覆っているといったところか。
  _
( ゚∀゚)「ったく……。それじゃあ説明始めるぞ」

弟者が気を取られている隙に、どうやら折檻は終わったようだ。
怒られて頬を染めた兄者に、冷や汗を流し続けるドクオ。
そして、弟者を一通り見通した後、男が口を開く。
  _
( ゚∀゚)「えっと、まだ名前言ってなかったな。まずは自己紹介だ。俺は長岡。お前らは?」

31 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:48:01.01 ID:zqnJJebc0
(;'A`)「ドクオです……」

(´<_` )「……弟者」

(*´_ゝ`)「兄じゅ、噛んだwwwwフヒヒwwwwww」

一通り紹介を終える。
  _
(#゚∀゚)「右向き顔、もう一回」

どうやら、長岡には兄者の紹介が気に入らなかったらしい。
兄者が何度も紹介をさせられ、何度も噛んでいる最中。

(´<_` )(おい、ドクオ……)

(;'A`)(え、何……?)

弟者がこっそりとドクオに声をかける。
出来るだけ小さな声で、長岡に気付かれないように。

(´<_` )(お前、何にも知らないのか?)

(;'A`)(うん、あんまり知らない。あの人の名前も今知ったところだし、起きたらすぐここに連れてこられただけだから……)

33 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:50:54.72 ID:zqnJJebc0
長岡が兄者を怒鳴りつける声。
弟者とドクオが囁き合う声。
小さい物は、大きい物に掻き消される。

(*´_ゝ`)「アミューズメントパークwwwwwwふひゅっwwwwww」
  _
(#゚∀゚)「どこをどう間違えたら『兄者』をそう噛めるんだ」

長岡は、既に兄者の名前を知っていた。
自己紹介させる意味など、どこに求めているのだろうか。

(´<_` )(名前知ってるのかよ)

(;'A`)(きっと弟者君の名前と関連づけてわかったんだろうね……)

長岡の声に隠れて、会話を続ける。
部屋の主に気付かれぬよう、小さく、小さく。
と、その時であった。
  _
(#゚∀゚)「あぁもう鬱陶しい!!」

長岡が一つ咆吼。
同時に、床の埃が一気に舞い上がる。
そしてそれは、一斉に兄者に集まっていった。

長岡に目を向けると、手首にある時計のような機械をいじくっていた。

36 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:53:25.20 ID:zqnJJebc0
(´<_`;)「ちょ……」

(;'A`)「え!?」

囁く事も忘れ、二人が思わず声を上げる。
それ程までに、常識を逸した光景だったのだ。

(; _ゝ )「おべっ!?」

埃が集まる。
それで済まして良い程度ではなかった。
正しくは、埃を纏う。

(; _ゝ )「ゴホッ! ヴェエェェェェ!!」

いつも戯れている兄者がそんな余裕もなく、酷く苦しそうな反応を示す。
当たり前だ。全身に埃を纏ったのだから。
息も満足に出来ないだろう。
  _
( ゚∀゚)「苦しいか? 辛いよな? 止めてほしいよな? ……それじゃあ自己紹介して貰おうか」

長岡が、口角をあげて兄者に向かう。
残虐な目、それが兄者を捉えていた。

37 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:56:08.26 ID:zqnJJebc0
(; _ゝ )「……兄者」
  _
( ゚∀゚)「よし、やればできるじゃねぇか」

満足そうに長岡が頷く。そして、何らかの操作を機械に施した。
同時に、兄者の纏う埃の鎧が剥がれ落ちた。
落ちた埃は床で一旦跳ね返り、再度舞い上がる。
  _
( ゚∀゚)「せっか埃が落ち着いたのに、また散らかっちった」

(; _ゝ )「……」
  _
( ゚∀゚)「……」

服に付いた埃をはたき落としながら、長岡は兄者に目を遣る。
そして、一括。
  _
( ゚∀゚)「兄者! さっさと起きやがれ!」

(;´_ゝ`)「はっ、はいっ!!」

一瞬にして、倒れ込んでいた兄者が起きあがる。
その光景を見た弟者とドクオは、唖然とする。

(´<_`;)「あの兄者が返事……奇跡だ」

思わずそんな言葉が口から溢れる。
それほどまでに普段の兄者では想像の付かない従順ぶりであった。

41 名前:
◆qvQN8eIyTE [] 投稿日:2008/02/28(木) 20:58:00.59 ID:zqnJJebc0
  _
( ゚∀゚)「さて、それじゃ説明を始めようか」

(;'A`)「……」

(;´_ゝ`)「……」

(´<_`;)「……」

長岡の妙に軽めな口調、三人の重たい空気。
対照的な二つが混ざり合い、部屋の雰囲気を創り出す。
  _
( ゚∀゚)「あぁ……まぁ、なんだ」

三人の様子に気が付いたのか、長岡が少し口籠もる。
少しの間をおいて、一声。
  _
( ゚∀゚)「ようこそ、『忍者の里』へ」

(*´_ゝ`)「……おぉ」

(´<_`;)「何だと?」

('A`)「……っ!」

三者三様。それぞれが長岡の言葉に反応する。
遂に、忍者の里に着いたのだ。

果たして、忍者を元に戻せるのだろうか。
それだけが、ドクオの脳内を延々と駆け巡っていた。
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