2 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:05:07.79 ID:N5AlWJRc0
第十二話 〔ドクオの憂鬱〕



('A`)「弟者君……大丈夫かな……」

長い廊下、等間隔に並ぶスイッチ。
ドクオは歩きながら、一つ一つを確認していった。

('A`)「確かここ、だったよな……」

とあるスイッチの前に差し掛かった時、ドクオは足を止めて一人呟いた。
見た目はどのスイッチも全く同じ。
だが、なぜかドクオは感覚的に位置判断ができるようになっていた。

('A`)「弟者君、入るね」

指をかけ、スイッチを押し込む。
カチリ、押し切ったと同時に、目の前の壁が回転を始めた。
もう既にドクオには見慣れた光景である。

回転に合わせ、部屋の中の様子がドクオの視界に入ってくる。
閉鎖的な空間、敷き詰められた畳の上で座り込んでいる弟者の姿。

('A`)「弟者……君?」
4 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:07:29.86 ID:N5AlWJRc0
( <_  )「……」

(;'A`)「……」

遠慮がちにドクオは弟者の部屋へと入り込む。
無言のプレッシャーが充満した部屋。
足音を一つでもたてれば、それこそこの世界が崩壊しかねない。そんな空気だった。

(;'A`)「……」

ドクオは話しかけるのを躊躇っていた。
重すぎる空気に、口が閉ざされて動かない。

( <_  )「……なんだよ」

(;'A`)「……え?」

いつまでも無言のドクオに痺れを切らしたのか。
弟者が静かに、それでも重みのある声でドクオが来た理由を聞いた。

(;'A`)「あの……兄者君、死にはしないって……。だから、その……きっと大丈夫だから」

( <_  )「大丈夫……?」

ドクオの言葉を聞き返す。
6 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:10:25.63 ID:N5AlWJRc0
(;'A`)「そう、大丈夫。だから、心配しないで」

( <_  )「……ふざけるな」

小さく、かつハッキリと。
狭い部屋の隅々まで届くような。
空気を震わし、弟者の声が通る。

(´<_`#)「大丈夫かどうかなんて問題じゃないんだよ! 問題なのは兄者が『いなくなった』ってことだろうが!」

段々と声の音量は上がっていき、いつしかそれは叫びとなっていた。
ドクオは驚き、竦み上がる。

(´<_`#)「目の前で産まれた時から一緒だった奴が連れ去られる辛さを! 助けられなかった悔しさを!
       お前には理解できるのか? できないんなら軽々しく大丈夫なんて言うな! さっさと出ていけ!」

(;'A`)「あ……あ……」

ドクオは何も言い返せなかった。
自分の軽率さ。
それが自己嫌悪という感情を引っ張り出し、ドクオの口を塞ぐ。

(;'A`)「……ごめん」

やっと出た言葉は、簡単な謝罪だけであった。
9 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:14:21.88 ID:N5AlWJRc0
( <_  )「良いから出ていけよ。……キモドクオ」

(;'A`)「……!」

弟者の口から紡がれた、一つの単語。
それが、ドクオの胸に突き刺さる。

(;'A`)「ごめん……ごめんね……。じゃあ……」

内側から扉を回転させる。
回る扉と同時に廊下へと出たドクオは、トボトボと歩き始めた。

('A`)「キモドクオ……か。また言われちゃったな……」

ドクオの脳内で鮮明にフラッシュバックする今までの出来事。
元々は忌み嫌われた存在であった。
忍者の里に降りてから、色々な事がありすぎてすっかり忘れてしまっていた。

('∀`)「はは……懐かしいや」

( ∀ )「ははは……はは……」

(;A;)「はははははははは……」

空笑いと共に溢れ出す涙。
一人、寂しさを感じながら廊下を歩いていた。
11 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:16:43.99 ID:N5AlWJRc0
(;A;)「あ……あれ……」

帰る途中に、ぼやけた視界が茶色い箱状の物を捉えた。
近付くにつれ、涙でモザイクがかっていた物質も、輪郭を鮮明にし始める。
それは、兄者に割り当てられた部屋、段ボール箱であった。

(;A;)「兄者君……ごめん……」

持ち主のいなくなった段ボール箱。
それに、詫びた。

元はといえば、ドクオが兄者を誘ったのだ。
そして兄者が連れ去られる時、ドクオは兄者を助けられなかった。
様々なことを後悔し、更に涙が溢れてきた。

(;A;)「俺さえいなければ、こんなことにならなかったのにね……」

仮定の話を思い浮かべた。
もし、自分が兄者を誘わなければ。
もし、自分が兄者を助け出せていたのならば。

今頃は、兄者も弟者に罵られながら、きっと身悶えていただろう。
その仮定を消したのは、ドクオだ。

(;A;)「……」

これ以上は居た堪れなくなり、ドクオは黙って自分の部屋へと向かった。
12 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:20:27.69 ID:N5AlWJRc0
(ぅA;)「着いた……」

壁に不思議な力でくっついている一枚の板。
『ドクオの部屋』
あまり上手ではない字でそう書かれている。

元は、兄者のダンボールだった。
それを少し拝借して、ドクオは表札を作ったのだ。

('A`)「……」

今のドクオは、そんな過去の小さなことにすら罪悪感を抱くようになっていた。
少し立ち止まり、そして無言でスイッチを押す。

ゆっくりと壁が回転して、ドクオを部屋に迎え入れるための空間が生み出される。
隙間から漂う畳の香り。
少し心が和んだ気はしたが、所詮は気休め程度であった。

('A`)「はぁ……」

部屋の隅に身を寄せて、座り込む。
一度マイナス思考になった脳は、挽回することもなくドクオを落ち込ませる。
ドクオの気を逸らす物がないこともまた、それに拍車をかけていた。
15 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:31:15.47 ID:N5AlWJRc0
かた、かた。
畳が小刻みに揺れている。
気付けばドクオは、貧乏ゆすりをしていた。

('A`)「そういやこの癖も久しぶりだなぁ……」

学校で毎日いじめられていた頃。
自己防衛のつもりか、よく貧乏ゆすりを行っていた。
最近では流石兄弟や忍者たちのおかげで、すっかりご無沙汰であった癖だ。

ドクオにとって、できれば復活してほしくなかった癖であった。
貧乏ゆすりの揺れは、そのままドクオの心の揺れをも示している。
自分の心が弱っていくのを、ドクオは確かに感じていた。

('A`)「……ん?」

そんなドクオの耳に、微かに入る壁を叩かれる音。
ノックだ。

『ドクオ、入るぞ』

ノックの音に続いて、長岡の声が部屋に入ってきた。
返事をする間もなく、ドクオの部屋の扉が回転を始める。
  _
( ゚∀゚)「よう、弟者はどうだった?」
17 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日: 2008/05/27(火) 22:33:44.92 ID:N5AlWJRc0
('A`)「はは……、兄者君は大丈夫だって言ったら、『軽々しく言うな』って怒られちゃいました……」

無理に笑顔を貼り付けて、ドクオが返す。
そんなドクオの様子を見て、長岡が苦い顔をした。
  _
(;゚∀゚)「あー、そうなのか。まぁ、よく考えれば軽率だったかもな。お前に行かせて悪かった」

後頭部をぼりぼりと掻きながら、長岡は謝った。
ドクオに弟者のもとへ行くように指示を出したのは、長岡だ。
長岡なりに責任を感じたのかもしれない。

('A`)「大丈夫です……。俺が……駄目なやつだっただけですから……」
  _
(;゚∀゚)「……」

ドクオの卑下に、長岡も思わず閉口する。
ネガティブな空気が、二人のいる空間を余すことなく満たしていた。
  _
(;゚∀゚)「そんな思い込むな。体に悪いぞ。……とりあえず、明日は昼ごろに長老の家に集合だ。
     お前らの種がないから直接伝えにきた。乗り物も用意しておくから時間までには準備して待ってろ」
19 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:36:21.88 ID:N5AlWJRc0
('A`)「わかりました」
  _
( ゚∀゚)「じゃあ俺は弟者の方にも伝えに行くからまた明日な。あまり思い悩むなよ」

('A`)「ありがとうございます……」

部屋を出ようと振り向いた長岡の背中に、小さくお礼を投げかけた。
長岡はそれに対し、右手を軽く上げて答える。
扉が回転し終える頃には、そんな長岡の姿もなくなっていた。

('A`)「……」

長岡に掛けられた慰めの言葉。
それが今のドクオの心には、優しすぎて。
痛んだ心の節々に、染み入るような痛みを残していた。

('A`)「ありがとうございます……」

もう一度小さく呟く。
既に聞かせたい相手は部屋から出ている。
それでも、自分のために言っておきたかった。

かた、かた。
その日のドクオの部屋。
畳は一晩中、小刻みに震えていた。
20 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:38:56.24 ID:N5AlWJRc0
( ,'3 )「さて、この魂をどうするか……だな」

暗い部屋。
空気にすらも重みを感じるような、重圧感溢れるこの部屋で、一人の男が座椅子に座りながら呟いた。
彼の視線の先には、手に持たれた小振りのビン。その中に光る、微かな明かりがあった。

( ,'3 )「とりあえずちゃんとした入れ物を用意するか」

そう言って、男が手を肩の高さほどに上げ、数回叩いた。
乾いた音が、辺りに響く。

( ^^ω)「お呼びですホマか?」

一匹の、異形の物が男の目の前に現れる。
一番近くにいたのだろうか。
だとしたら、それは彼にとって一番の不幸になる。

( ,'3 )「あぁ。お前にこの魂の入れ物となってもらう」

(;^^ω)「……ホマ?」

何がなんだかわからない。
本当にそのような顔をした部下に目をやり、ニヤリと男は微笑んだ。
と、同時に――

(;゚゚ω)「ホマッッッッ!!!!」

手に持つ小瓶を、目の前の部下に振り下ろす。
21 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:40:29.32 ID:N5AlWJRc0
ガラスの割れる、神経を逆なでするような高音が空気を揺らした。
気を失い倒れていく、異形の生物。

(;  ω)「……」

その体を、束縛するものを失くした光が包み込む。
最初は淡い光。
段々と、明るさを増していき。

( ,'3 )「さぁ、目覚めろ!」

男の掛け声と共に、眩い光が少しずつ収まっていった。
そして、異形の姿がはっきりと見え始める。

( ´`_ゝ)「……」

( ,'3 )「……」

そこには、形を変えられてしまった兄者がいた。
面影は若干残っている。たぶん。

( ,'3 )(やっぱりビンの中に入れっ放しにしておけば良かった……)

座椅子に深く腰掛け、心の底から男は深いため息をついた。
22 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:42:12.17 ID:N5AlWJRc0

  ( ´`_ゝ)カサカサ 「フヒヒwwwwww」
  ...ノノノノノノ






そして、翌日。






  ( ´`_ゝ)カサカサ 「フヒヒwwwwww」
  ...ノノノノノノ
28 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:45:04.93 ID:N5AlWJRc0
('A`)「……」

ドクオは、自然と目を覚ましていた。
何の気なしに部屋を見やる。
一部の隙間もなく敷き詰められている畳、そこまで高くない天井、四隅を固める柱。

('A`)「……ふぅ」

意味もなく、一息入れた。
ちょうどその時。
ドクオの耳に、扉の回転する音が届いた。

|/゚U゚| + 激しく参上 +

回転する扉と共に、忍び装束で体を包んだ忍者が部屋に入ってくる。
相変わらず、忍者は無表情であった。

('A`)「もう時間なんだ……」

昨日の出来事から、あまり乗り気ではない。
だが、ドクオには言われたことを堂々と無視するほどの度胸というものを持ち合わせていなかった。

('A`)「よいしょ、っと」
30 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:46:54.66 ID:N5AlWJRc0
忍者の背中におぶさる。
何度目だろう。
妙に慣れはじめた自分に違和感を抱きながらも、ドクオは忍者の尻を軽く叩いた。

|/゚U゚| + 激しく出発 +

フワリとした無重力。
すぐ後に続いてやってくる大きな重力。
極端に移動する重みにすらも、ドクオはどこか慣れていた。

('A`)(案外、適応できるもんなんだなぁ……)

上に戻らずにここで暮らし続けるのも良いかもしれない。
そんな思いを残し、ドクオを乗せた忍者は天井を突き抜けた。

どんどん上がっていく高度。
それがピークに達し、上がりから下がりへとベクトルを変える瞬間。
ドクオの周囲全体を、空が囲んだ。

('A`)(この瞬間が一番好きだな……)

段々と高度を下げていき、忍者が地面に着地。
自分を迎えてくれた空に別れを告げる間もなく、今度は横への移動に切り替わる。
33 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:48:58.53 ID:N5AlWJRc0
振り落とされないように、必死に忍者の体に掴まる。
毎回ドクオはここで手汗やらが酷いことになって、それで掴むことに対し申し訳なさを感じることになる。

|/゚U゚| + 激しく移動 +

(;'A`)「―――――ッッッッッ!!」

忍者はそんなことなど、全く気にも留めずに走っている。
この走りだけは、ドクオは慣れることができなかった。

歯を食いしばり、更に腕に力を込める。
前から後ろへと、物凄い速度で風景が通り過ぎていく。
のんびりとした観光など、出来るはずもない。

|/゚U゚| + 激しく到着 +

やがて、驚異的なスピードを誇っていた風景も止まることになる。
前から吹き付ける強風も、すっかりやんでいる。
ドクオは忍者の背中から降りて、そのまま地面に腰を下ろした。

(;'A`)(やっぱりこの速度だけは無理……)

腰から下の力が抜け、毎回へたり込む。
数分待てば大概回復するのだが、その数分がドクオにとっては長く感じられた。
35 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:50:26.57 ID:N5AlWJRc0
|/゚U゚| + 激しく到着 +

(;'A`)(ん?)

へたり込むドクオの背後から、微かな足音と不思議な音声が届いた。
耳で聞くわけではなく、脳に直接響くような声。

(´<_` )「……」

目を向けてみれば、そこには忍者の背中から降りている最中の弟者の姿があった。
一瞬、二人の視線が交差する。

(;'A`)「あ……」

なんと声を掛けるか。
ドクオが迷っている間にも、弟者は歩き始める。

(´<_` )「……」

最初に一度視線があったきり、弟者はドクオに目を向けなかった。
擦れ違う、二人。
弟者は荒巻の家へと消えていってしまった。

(;'A`)「……」
36 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:52:48.47 ID:N5AlWJRc0
取り残されたドクオに寄り添うのは、確かな孤独であった。
今の弟者の態度で、二人の間にできた溝の深さを知ることになる。

(;'A`)「……」

先日までは、仲良くやれていたと思っていた。
虐げられてきた日々を思い出すことも少なかった。
だが、これではっきりとわかった。

('A`)(やっぱり俺、嫌われ者の素質があるんだな……)

視線を上にやる。
通学の時にドクオを慰めてくれていた忍者は、今や現実として会っている。
だが、その忍者は今のドクオを慰めてはくれていない。

心に開いた大きな穴を埋めるためか。
ドクオはあの頃のように、大空を見上げて忍者を思い浮かべた。

( ^^ω)「ホマー」

(;'A`)「あれ……」

出てきたのは、やはりあの異形の生物であった。
38 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:54:45.26 ID:N5AlWJRc0
( ^^ω)「ホマー」

( ^^ω)「ホマー」

( ^^ω)「ホマー」

「「「「「「「「ホマー!」」」」」」」」

しかも一匹ではない。
何匹も何匹も、大空から降り注いでくる。

(;'A`)「ちょ、やばいかも……」

想像することを止める。
生物の発生を食い止めはしたが、それでも大量の生物が今。
ドクオの目の前に犇いている。

上の世界では無害であった。
が、兄者をさらわれてしまった今となっては、ドクオにとってその生物は脅威でしかなかった。
逃げようにも、足が竦んで動き出せないでいる。

( ^^ω)「ホマー」

そうしている間にも、生物の一匹がドクオを見つける。
その生物の反応を合図に、一斉に全体がドクオを見ている状態となった。
39 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:56:39.92 ID:N5AlWJRc0
(;'A`)「えっと……その……」

思わず後退り。
今、ドクオの脳内には雨の中さらわれた兄者の姿が思い浮かんでいた。

降りしきる雨。
取り込まれた兄者。
泣き叫ぶ弟者。

(;'A`)「……」

ドクオが一歩下がる。
それに合わせて生物たちも大きく近付く。
段々と埋まっていく、ドクオとの距離。

( ^^ω)「ホマー!」

(;'A`)「……!」

そして遂に、一匹がドクオに飛び掛る。
ドクオの視界に一瞬にして大きく映る姿。
上の世界での鈍足な動きが嘘のように、生物は素早くドクオに絡みつこうとした。

(;'A`)「うっ……!」
40 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 22:59:20.01 ID:N5AlWJRc0
目をつぶり、地面に座り込む。
力を持たないドクオは、そうやって現実から目を背けるしかなかった。

が、いつになってもドクオに攻撃は来ない。
あんなにも近くまで攻めてきて、今にも攻撃されそうな雰囲気であったのにもかかわらず。

(;'A`)「……え?」

そっと視線を上げる。
攻撃を受けることを覚悟したため、かえって攻撃が来ないことが不審に感じた。
そして、ドクオの見た光景は。

(;^^ω)「ホマ……」

地面にへばり付いた生物の姿であった。
  _
( ゚∀゚)「は瀬川のやつらが何でこんなに……?」

荒巻の家の玄関から、聞きなれた声がした。
その声が耳に届くと同時に、ドクオはかつてないほどの安堵を感じる。
長岡が、忍具をいじりながらは瀬川と呼ばれた生物を睨み付けていた。
  _
( ゚∀゚)「まぁ良い。オワタ、頼んだぞ」
41 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 23:01:17.70 ID:N5AlWJRc0
\(^o^)/「うはwwww任せとけwwwwww」

長岡の上を飛び越え、荒巻の家からオワタが登場する。
手に持つのは、黒光りする木刀。
ドクオ達の持っていたものと同じタイプの物であった。

\(^o^)/「オラ! オラ!」

(;^^ω)「ホマッ!?」

長岡の忍具によって、地面にくっつけられ身動きが取れないは瀬川に、オワタの暴力がふり注ぐ。
大きく振りかぶり、思いっ切り振り下ろす。
殴打するときに発生する嫌な音と、は瀬川の悲鳴が同時に響いた。

(;#)^ω)「ホマ……」

そして最終的に、ボロボロになったは瀬川は力尽きる。
体が段々と透けていき、終いには跡形もなく消えてしまった。
それを見て心の底からオワタにドン引きするドクオ。

(;'A`)「うわぁ……」

\(^o^)/「うっひょー! 気持ち良いZE!」

木刀を振り回し、周囲のは瀬川に威嚇。
最初こそは怯んでいたは瀬川たちも、やらなければやられる。
そう判断したらしかった。
44 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 23:04:43.48 ID:N5AlWJRc0
「「「「ホマ!」」」」

は瀬川が一斉にオワタに飛び掛る。
これはさすがの長岡もお手上げ。
  _
( ゚∀゚)「あ、オワタすまん。こんな大勢はさすがに止めるの無理だわ」

\(;^o^)/「ちょwwwww死ぬwwwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「とりあえずあきらめて一回死んでくれ。そうすると良い感じになるだろ」

二人の会話が交わされている間にも、どんどんとは瀬川はオワタの体に絡みつく。
そして数秒後。

 ◎ ◎
◎   ◎ティウンティウン

独特の破裂音と共に、綺麗に消え去ったオワタ。
不思議な光(◎)を発生させて、死んでいった。

「「「「ホ……ホマ……?」」」」

(;'A`)「……え?」
46 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 23:07:15.64 ID:N5AlWJRc0
ドクオが見て、思わず驚きの声を上げた光景。
それはオワタが破裂したときに出た光に触れ、消えていくは瀬川の姿。

(;'A`)「何が起きてんの……?」

この言葉をやっとのことで発した時。
すでには瀬川は一匹残らず消されていた。
  _
( ゚∀゚)「……ったく、お前ここで内藤の姿想像しようとしたな。これからは気をつけろ。オラ、さっさと入れ」

(;'A`)「あ……は、はい」

長岡が手招きする。
それに誘われ、荒巻の家へ入った。
扉のすぐ横のスイッチを押し、回転扉に合わせて部屋の中に入る。

そして中にいたのは。
畳にひたすら掃除機を掛けている内藤。無表情に座っている弟者。
何故か復活しているオワタ。相変わらずピンクの忍び装束を着た荒巻。

そしてもう一人、ピンク色の忍び装束を着ている人間がいた。

从'ー'从「こんにちは~。はじめましてだね~」

ドクオを見て、満面の笑みを浮かべる少女。
傍らには、何やら大きめの箱が置いてある。
48 名前: ◆qvQN8eIyTE 投稿日: 2008/05/27(火) 23:10:44.75 ID:N5AlWJRc0
(;'A`)「あ、どうも……あの、えっと……」

从'ー'从「渡辺だよ~。よろしくね」

顔に浮かぶ笑顔はそのままに、首を少し傾げての挨拶。
ドクオは、自分の胸が高鳴っていることに気が付いた。
と、長岡が口を挟む。
  _
( ゚∀゚)「彼女にお前らの忍具を作ってきてもらったんだ。ありがたく受け取れよ。お前らの武器だからな」

(;'A`)「あ、そうなんですか。……って、え?」

思わず聞き返す。
武器を作ってもらうということは、すなわち自分も戦うことになるわけだ。
誰と戦うかもわからないドクオは、即座に納得することはできなかった。

( ^ω^)「ちなみに弟者君は既に忍具を受け取ったお」

内藤の言葉を聞き、ドクオは無意識に弟者に目を向ける。
その後に若干の気まずさに気が付いたが、それよりもドクオの中では好奇心が打ち勝った。
弟者の手元を見てみる。

(´<_` )「……」

そこには銀色に輝く、一本のスプレー缶が握られていた。
inserted by FC2 system