('A`)ドクオと忍者のようです


9 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:39:29.34 ID:DGpKvA6a0
第一話 〔登下校の友〕



太陽はゆっくりと地面から顔を出して、朝の訪れを街に伝える。
夜の灯火の役割を果たした月は沈み、黒かった空はうっすらと白く染まっていった。
冷ややかな空気が住宅を包み、小鳥の囀りが広い空の下、高らかに奏でられている。

洋式作りの家が規則的に並ぶ住宅街。その中の特に特徴のない一軒。その中の一部屋。
小さく開いた窓の隙間から、朝の気配が静かに忍び込んでくる。
強く瞑られた瞼を朝日が照らし、吹き込んだ風が住人の身体をフッと撫でた。

('A`)「寒……」

小さく一言呟いて、掛け布団を自分の身体に巻き付ける。
クロワッサンのような状態になったまま、再度眠りへ意識を手放そうとした。

だが、数分後。

(;'A`)「やべ……。気付かれる前にAV返しとかないと」

朝の身支度を終え、急いで制服に着替えている彼の姿があった。
顔一杯に焦りの色を浮かべ、既に仕事に出た母が作り置いていた朝食を腹に流し込んで家を出る。
玄関を飛び出し、自転車に跨って駅へと大急ぎで向かうのであった。
15 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:42:30.10 ID:DGpKvA6a0
(;'A`)「ふぅ……」

一つ溜息。
何とか間に合った電車の中。右には禿げたオッサン、左には学校に向かう女子高生というアンバランスな立ち位置。
若干重心を左に傾けつつ、窓に視線を投げ掛けていた。

青の空に白い雲という二色の背景。
そこに線を引く電線、凄いスピードで走り去る家、遠くでのんびりと動く山々。
そして、それらの上を駆け抜ける一つの黒い人影。

自分にしか見えない。
他の人には見えない。
自分だけの存在。

('A`)(今日も忍者は好調だな)

他の人に見えるはずがない。
自分の脳内で動かしている存在なのだ。
それ故、自分だけの存在。

( ^ω^)「おっおっおっ」

黒い忍び装束に身を固め、家と家との間を飛び跳ねた忍者が、ドクオの脳内で声を上げた。
だいぶ高度を上げた太陽が、いるはずのない存在をシルエットにする。
その光景を彼、ドクオは通学の暇潰しとしてずっと眺めているのである。

17 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:45:11.40 ID:DGpKvA6a0
ドクオには、共に通学するような間柄の人間は悲しい事に一人もいなかった。
学校に着くまでに、いくら人と擦れ違おうが、彼は一人なのである。
話し相手もいない通学路、彼が忍者という存在を生み出したのも不思議ではなかった。

たん、たん。
リズム良く、忍者は流れる光景の中で走り続ける。
凄い速度でドクオ達を目的地に届ける電車に、引けを取らないほどに。

(;^ω^)「おぉっ?」

流石の忍者とて、民家から民家に飛び移る間に足を踏み外す事もある。
脳内映像なのだから、失敗のない完璧な設定にすればいいのだが、そこはドクオ。
極限までにリアリティを求めたのだ。

走り抜けた勢いそのままに、忍者は民家の壁に頭から突っ込みそうになる。

( ^ω^)「うはwwwおkwwwww」

ところが忍者は、唐突に両腕を前に突き出して、壁に垂直に逆立ちの姿勢で着地した。
そして、再度壁を押して宙に戻り、空中で方向転換をして元のコースに戻ったのであった。
18 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:47:32.55 ID:DGpKvA6a0
(*'A`)b「GJ! さすがは俺の脳内忍者!」

思わず声が口から飛び出た。
それほどまでに、忍者のアクションが素晴らしかったのだ。
一流アクションスター顔負けの、奇跡とも言える動きであった。

「うわ、ビックリした」

「何あれ? きんも〜☆」

「うはwwwwwあれはないwwwww写メってVIPに晒すかwwwwww」

「'`ァ'`ァ……」

「いや……私痴漢されてるのに感じちゃってる……。こんな……に…気持ち……良いなん、て……!」

周りの乗客が一斉にドクオの方を向き、小さな声で囁き合い始めた。
通勤、通学ラッシュの電車内で唐突に叫んだのだ。無理もない。
しかし、忍者の動きに夢中になっていたドクオには、車内の状況など全く無関心であった。

(*'A`)「忍者SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!11111」

21 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:49:29.85 ID:DGpKvA6a0
('A`)「ハァ……」

教室に辿り着いてから、彼のテンションは降下の一途を辿り始めた。
とりあえず、自身の鞄を落書きだらけの机の横に置く。
ふと、机に目が向いた。

「死ね」「学校来るな」「気持ち悪い」

相変わらずの落書きだ。
毎日のように増え続ける、悪口の羅列。
むしろドクオは、思ったほど落書きが増えていない事に安堵を覚えていた。

いつからであろうか。机の落書きに傷付かなくなるまでに慣れてしまったのは。
どうしてであろうか。自分がこれほどまでに周りから疎まれる存在になったのは。

('A`)「そうだ、みんなが来る前に返しとかないと……」

鞄の口を開き、中から昨日見ていたAVを取り出す。
クラスメイトから(無断で)借りたAVだ。
誰にも見られずに、早く机の中に戻さなければならない。

すぐさま、持ち主の机へ入れようとする。
昨日、持ち主が自慢しているのを聞いて、思わず借りてしまったのだ。
バレたら今まで以上に酷い仕打ちが待っているだろう。


22 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:51:31.73 ID:DGpKvA6a0
( ・∀・)「あ、キモドクオじゃん。まだ生きてたんだw」

突然耳に届く、嫌にネットリとした口調の声。
ドクオは片手にAVを握ったまま、ゆっくりと声の元へ目をやった。

(;'A`)「モ、モララー……君」

見つかった。見つかってしまったのだ。
よりにもよって、最悪な奴に。

今ドクオに対峙する位置で、ニヤニヤと不快な笑みを浮かべている男、モララー。
ドクオへの扱いの首謀者でもある。

( ・∀・)「ん? お前、何持ってんだ?」

(;'A`)「いやそのこれはあばばばばばば」

( ・∀・)「やっぱりお前気持ち悪いな。良いから見せろよ」

濡らした真綿で首を絞められるような。
それでいて確実に核心は掴んでいるような。
そんなモララーの雰囲気に、ドクオは抗う事などできなかった。

24 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:53:45.49 ID:DGpKvA6a0
(;'A`)「……はい」

震える手で、モララーにAVを渡す。
段々と外から聞こえる声が増えてきた。
対照的に、嫌に静かな朝の教室。

( ・∀・)「なになに……? 『ネッチョリ癒されたい (2003年2月28日、アリスJAPAN)』 ……また古いモン持ってきてるな」

目の前でAVのタイトルを読み上げられる。
これ程の恥辱はこれから先、中々無い事だろう。
焦りと恐怖で混乱しきったドクオは、どこかでそのような事を考えていた。

( ^Д^)「お、早いな。モララー」

そんな最悪の舞台に、また一人登場人物が増える。
モララーとは違う、嘲笑の笑みを絶えず顔に浮かべた男、プギャー。

(;^Д^)「って、ちょwwwwなんで俺の『ネッチョリ』を持ってるんだよwwwww」

ドクオが無断で借りたAVの持ち主である。

( ・∀・)「あぁ、これお前のなの。キモドクオがなんかコソコソ持ってたから取り上げてみたんだけど」

(;'A`)「あ……ぁ……」

25 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:56:43.73 ID:DGpKvA6a0
ドクオが制止する間もなく、モララーはプギャーに全てを伝える。
何故か、全身が震えた。
これから起こる、自分への仕打ちが容易に予測できたから。

(  Д )「は? キモドクオが俺のそらちゃんを? は?」

モララーの言葉を聞いたプギャーは、雰囲気をガラリと変えた。
いつものにやけた目はそのままだが、明らかにその目の奥には怒りが。
強く握られた手は、小刻みに、且つはっきりと震えていた。

(  Д )「おいコラ、カスドクオ。お前俺のそらちゃんに何したかわかってんのか! おい!」

語尾を荒げて、ドクオに問い詰める。
あまりの剣幕、あまりのプレッシャー。
ドクオはただただ、問い掛けられた質問に答えるので精一杯であった。

(;'A`)「え……えっと、お、オナニー、しました……」

(  Д )「抜いたのか? 俺のそらちゃんで抜いたのか!」

(;'A`)「いや、さすがにあの程度じゃ……」

答えた瞬間、頬に強い衝撃を感じた。
少し遅れて脳の振動、尻餅の衝撃。
下から見上げたプギャーは、拳を突き出してドクオを蔑んでいた。

28 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 22:58:20.33 ID:DGpKvA6a0
(#^Д^)「死ね! 俺のそらちゃんを見た挙げ句、愚弄するなんて……! お前は死ぬべきだ!」

そこまで言われて、やっとドクオは気が付いた。

(#);'A`)(あぁ……俺殴られたんだな)

口の中に鉄の味が広がった。
どこかを切ったのか、そこから血が出ているようだ。
ゆっくりと立ち上がったドクオの目には怒り心頭のプギャーの背中と、集まり始めた生徒の、好奇に満ちた表情が映っていた。

( ・∀・)「あーあ。プギャー怒らしちゃって。とりあえず、死んどいた方が良いんじゃない? 謝罪的な意味でw」

ドクオの耳元でモララーが囁く。
静かに、それでいて深く、心に響くように。

(#);'A`)「う……うぅ……」

痛む頬をさすりながら、声を上げる。
モララーの言葉が脳に届かぬように。
自分の惨めな姿を気にしないように。

(#);'A;)「うぅー……」

それでも、駄目だった。
視界がぼやける。
モララーの言葉は、心の奥深くに痛々しいほどに突き刺さっていた。

30 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:00:34.26 ID:DGpKvA6a0
それから数時間後。
いくつかの授業を終えての、休み時間。

(#)'A`)「……」

俯いて、机と相対する。
椅子に腰掛けてはいるが、何処か不安定であった。
心が、落ち着かない。

殴られた頬が、響くように痛む。
机の落書き1つ1つが、今では心を大きく揺さぶる。
とにかく、心の奥に深い闇が降りていた。

('、`*川「ちょっとぉ、キモドクオー」

妙に間延びした声が、耳に届いた。
ハッとして、ドクオが声の元へと顔を向ける。
眩い蛍光灯を背景に、顔を化粧で塗りたくった一人の女子生徒が立っていた。

(#)'A`)「な、何……?」

('、`*川「急に振り向くなよぉwwwキモいからwwww」

31 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:03:15.25 ID:DGpKvA6a0
ドクオの挙動を嘲笑した後、女は口を開く。

('、`*川「お前さぁ、さっきから貧乏揺すりウザいんだよねぇー。マジ死ねって感じなんだけどぉ」

(#);'A`)「あ……ご、ゴメン……」

('、`*川「キモいうえにウザいなんてホントに救いようがないねー」

言葉を吐き捨てて、女は去っていった。
貧乏揺すりはドクオの幼い頃からの癖なのだ。
今更言われたところで、一朝一夕で直せるようなものではない。

数分後、気付けば貧乏揺すりを再開しているドクオの姿があった。

('、`*川「マジキモい! アイツ死ねよー!」

从 ゚∀从「あんなチンカス男放っておけwww」

( ´_ゝ`)「時に弟者、俺もドクオみたくクラス中の女子に罵られてみたいぞ」

(´<_` )「OK兄者。今すぐキモドクオと共に死んでこい」

溢れるほどの、多量の陰口。
わざわざ聞こえるように言っている、決して陰ではない陰口。
ドクオには、一言一句全てが心にのし掛かっていた。

32 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:05:19.79 ID:DGpKvA6a0
(#)'A`)「……」

言っている本人には、大した重みもない一言なのだろう。
しかし、言われている側からすれば、一言だけでも相当心が揺さぶられるものなのだ。
そして、その不安定な心は「貧乏揺すり」という一時的な逃亡に繋がる。

( ・∀・)「みんな、やめときなよw あんな気持ち悪い物質に人の言葉が通じるわけないじゃん」

(#)'A`)「……」

揺れが強まる。その揺れは既に貧乏揺すりではない。
今揺すっている原因は震えだ。
モララーの存在による、恐怖。

( ´_ゝ`)「や………男に……れて…持ち……かな」

(´<_` )「兄…一……問だ」

( ´_ゝ`)「……なん…?」

(´<_` )「あと何……死ん………る?」

(;´_ゝ`)「……」

(´・ω・`)「……」

クラス中の話し声が聞こえる。
しかし、それは耳に入ってくるだけで、内容は脳で理解できていない。
ドクオの世界には、自分とモララー。2人きり。

34 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:07:09.18 ID:DGpKvA6a0
( ´_ゝ`)「やっぱり男に罵られても気持ちいいのかな」

(´<_` )「兄者、一つ質問だ」

( ´_ゝ`)「ん? なんだ?」

(´<_` )「あと何分で死んでくれる?」

(;´_ゝ`)「……」

(´・ω・`)「……」

モララーの発言に、主な反応を示したのは三人。
内二人は、瓜二つの兄弟。
先程からクラスの出来事一つ一つに兄の方が無意味に反応している。

残りの一人は、しょぼくれた顔をした男子生徒。
ドクオに対する事件が起きるたびに、その垂れ下がった眉を更に下げて、どこか哀しげな表情をする。

(´・ω・`)「ふぅ……」

小さな溜息、一つ。
誰に届く事もなく、教室の空気に溶けていく。
ドクオに攻撃的な、この教室の空気に。

35 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:09:20.18 ID:DGpKvA6a0
( ^ω^)「ブ―――――ンwwwwwwwwwwwwwwwwww」

帰りの電車。
朝とは違い、乗客は疎らだ。
なんの苦もなく、ドクオは席に座ることができた。

('A`)「はぁ……」

頬の腫れはひいた。
休み時間や弁当の時間など、時間を見付けては積極的に冷やしていたからだ。
誰にも見つからないようにトイレの中で、保健室で貰った氷を用いて。

( ^ω^)「あばばばばwwwww」

脳内忍者は窓の外の風景を、我が物顔で駆け抜けていく。
重力やベクトル等々、様々な原理を無視した動きで。

車内の落ち込んだドクオ。
車外の陽気な脳内忍者。
妙に、対照的であった。

('A`)(俺の事を励ましてくれているのかな……)

鳥の群を足場に、外で跳ね回っている忍者。
その動きは、ある意味ではドクオの希望でもあった。

37 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:11:47.57 ID:DGpKvA6a0
幼い頃から持ち続けていた、空への憧れ。
下から見上げた、大きな空。
いつも自分の背中を見てくれていた、優しい空。

時に暗く、雨を降らす事もあろう。
時に激しく、雷を鳴らす事もあろう。
時に冷たく、雪で凍えさす事もあろう。

だけれども、ドクオはそれら全てを引っくるめて空が好きであった。

( ^ω^)「フヒヒwwwwサーセンwwwww」

連続的なお辞儀と、片手チョップ。
サラリーマンが人混みを掻き分ける時の仕草をしながら、忍者は雲に潜っていった。

('A`)(……)

ドクオにはその姿が、堪らなく羨ましかった。
社会の柵など関係無く、好き勝手に空を飛び跳ねる。
そこにはドクオにはない『自由』があった。

38 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:13:37.46 ID:DGpKvA6a0
( ^ω^)「うぷっ」

お辞儀と片手チョップを止めずに、忍者が雲から出てきた。
雲の中にいる間、ずっとオッサン臭い行動を取ってきたのか。
そうドクオは考え、思わずその滑稽さに笑みが溢れた。

('A`)「ゲフンゲフン」

笑い顔を隠すために、わざとらしく咳き込んでみる。
そのような気遣いができるならば、朝の電車で叫ばないで頂きたいものだ。

外に流れる景色。
走り抜ける忍者。
向かいの席に座るスカート丈の短い女子高生。

様々なところに視線を移しながらドクオは楽しんでいた。
決して学校で過ごす事のできない、至福の時を。

(*'A`)('`ァ'`ァ ……やべ、勃ってきちゃった)

(;^ω^)「おー……」

忍者の存在は、性欲の前では無力であった。

>('A`)「やっぱ惨事はダメだな。俺には虹しかないわ」

プロローグのこの台詞は何だったのであろうか。

40 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:15:28.93 ID:DGpKvA6a0
家に着いてから、ドクオはまず自分の布団に座った。
おもむろにズボンとパンツを脱ぎ、自身の野心を解き放つ。

(*'A`)「あの女子高生の太ももを忘れないうちに……」

硬くそそり立つ一物を、しっかりと握りしめる。
そしてドクオは、そのまま上下運動を始めた。

(*'A`)「アフンアフン」

開始30秒後に、運動は終了。
そのままスーパー鬱タイムに突入。

オナニー\('A`)/オワタ

/('A`)\シニタイ

帰宅早々、激しい躁鬱を見せるドクオ。
ティッシュがなかったので、仕方なく手で己から出た白濁液を受け止めた。
ベトベトになった手が、また彼を鬱にさせた。

/'A`\イカクサイヨー



('A`)「精子まみれの手で顔面(4行上のAA参照)触っちった……。死にたい……」

42 : ◆qvQN8eIyTE :2008/02/07(木) 23:17:39.85 ID:DGpKvA6a0
前日が不発で終わったためか、いつも異常に濃厚な汁が出た気がする。
とにかく、手が汚れたままでは不快なので、ドクオは手を洗いついでに風呂に入った。

('A`)「明日もまた学校か……。嫌だな……」

湯船に浸かりながら、漠然と思いを馳せる。
今日のような日が、あとどれくらい続くのだろう。
あと何回経験すれば終わるのだろう。

('A`)「出よ……」

風呂場というのは、物思いに耽るのには丁度良い場所だ。
それは良い意味でも、悪い意味でも。

風呂に浸かっていると、今日の事を思い出してしまう。
それならば少しでも早く出て、その記憶から逃げ去りたかった。

('A`)「……寝るか」

服を着て、自分の部屋に戻る。
特にやる事もないので、ドクオはいつもより早めに寝る事にした。

今まで繰り返されていた辛辣な毎日に、新たな変化が生じることとなる明日に向けて。

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